5分でできる!発注書・注文書の書き方
記載すべき項目と、下請法・インボイスで気をつける点をまとめました。
発注書は、口頭やメールで決めた内容を1枚の書面にまとめるものです。 作るのに5分もかかりませんが、「言った・言わない」の防止効果は非常に大きい書類です。 ここでは記載すべき項目と、下請法・インボイスで気をつける点をまとめます。
発注書に書く項目
| 項目 | 記載内容 | 必須 |
|---|---|---|
| 表題 | 「発注書」または「注文書」 | ◯ |
| 発注番号 | 社内で管理する番号 | △ |
| 発注日 | 書面を作成した日 | ◯ |
| 宛先 | 受注側の会社名・担当者名 | ◯ |
| 発注者 | 自社の会社名・住所・担当者・押印 | ◯ |
| 件名 | 「コーポレートサイト制作一式」など | ◯ |
| 作業内容の明細 | 項目ごとに数量・単価・金額 | ◯ |
| 金額 | 小計・消費税・合計 | ◯ |
| 納期 | 納品日または公開日 | ◯ |
| 納品方法・納品場所 | データ納品、指定サーバーへの設置など | ◯ |
| 検収の方法と期間 | 「納品後10営業日以内に確認」など | ◯ |
| 支払条件 | 支払期日と方法(末締め翌月末払いなど) | ◯ |
| 備考 | 含まないもの、前提条件、著作権の扱い | △ |
明細は「一式」にしない
「ホームページ制作一式 1,200,000円」とだけ書くと、範囲が特定できません。 次のように分けて書いてください。
ディレクション費 1式 150,000円 サイト設計(10ページ) 1式 120,000円 デザイン(トップ) 1式 200,000円 デザイン(下層9ページ) 9ページ 315,000円 コーディング 10ページ 250,000円 CMS構築(お知らせ・実績) 1式 180,000円 問い合わせフォーム 1式 80,000円 ──────────────────────── 小計 1,295,000円 消費税(10%) 129,500円 合計 1,424,500円
「含まないもの」を備考に書く
追加費用のトラブルはここで防げます。
備考の例:
・原稿および写真は発注者が提供します(撮影・ライティングは本発注に含みません)
・デザイン修正は2回まで無償、3回目以降は別途お見積り
・サーバー費用・ドメイン費用は本発注に含みません
・成果物の著作権は、検収および支払い完了時に発注者へ譲渡されるものとします
・公開後3か月以内に発見された不具合は無償で修正するものとします
下請法の対象になる場合
取引の内容と、発注側・受注側の資本金の組み合わせによっては下請法が適用され、 発注側に書面(または電子データ)の交付義務が生じます。 Web 制作は「情報成果物作成委託」にあたります。
| 発注側の資本金 | 受注側 |
|---|---|
| 5,000万円超 | 資本金5,000万円以下の法人・個人 |
| 1,000万円超5,000万円以下 | 資本金1,000万円以下の法人・個人 |
※ 情報成果物作成委託・役務提供委託の場合の区分です。製造委託等では基準が異なります。
- 発注時に直ちに書面を交付する(後出しは不可)
- 支払期日は納品日から60日以内に設定する
- 発注後に一方的に代金を減額しない
- 受注側に責任が無いのに受領を拒否したり、返品したりしない
- 取引の記録を2年間保存する
詳細は公正取引委員会・中小企業庁の資料をご確認ください。
インボイス制度との関係
発注書に登録番号を書く義務はありません。必要なのは受注側が出す請求書のほうです。 ただし実務としては、次の点を発注前に確認しておくとあとで困りません。
- 相手が適格請求書発行事業者かどうか(登録番号の有無)
- 登録していない相手の場合、自社の仕入税額控除が制限されること(経過措置あり)
- 見積書・発注書の金額が税抜か税込か、明示すること
免税事業者だからという理由で一方的に値下げを求めると、下請法や独占禁止法上の問題になり得ます。 条件を変更する場合は、必ず双方の協議のうえで決めてください。
収入印紙について
請負契約の成立を証明する書面(発注請書など)は課税文書となり、 記載金額に応じた収入印紙が必要になる場合があります。 一方、PDF などの電子データでやり取りする場合は印紙税がかかりません。 電子契約サービスを使う会社が増えているのは、この点も理由の一つです。 課税の要否は文書の内容によって判断が分かれるため、迷う場合は税務署や税理士にご確認ください。
発注前に決めておくこと
発注書に書く内容は、そのまま契約条件になります。 作業範囲や著作権の扱いは、発注書を書く前に整理しておいてください。 詳しくは業務委託契約のチェックポイント6つにまとめています。
よくある質問
発注書は必ず必要ですか?
一般的な取引では法律上の義務はありませんが、下請法の対象となる取引では書面(または電子データ)の交付が発注側の義務です。義務でない場合でも、作業範囲と金額を明確にするために交わすことをおすすめします。
発注書と注文書は違うものですか?
実務上はほぼ同じ意味で使われます。「発注書」「注文書」「発注請書(受注側が返す書面)」という呼び分けが一般的で、呼称よりも記載内容のほうが重要です。
発注書に収入印紙は必要ですか?
請負契約にあたる内容で、契約の成立を証明する書面(発注請書など)は課税文書となり収入印紙が必要になる場合があります。一方、電子データでやり取りする場合は印紙税がかかりません。判断に迷う場合は税理士や所轄の税務署にご確認ください。
インボイス制度で発注書に何か変わりますか?
発注書そのものに登録番号の記載義務はありません。必要なのは受注側が発行する請求書(適格請求書)です。ただし、相手が課税事業者かどうかで自社の仕入税額控除が変わるため、発注前に登録番号の有無を確認しておくのが実務的です。
まとめ
- 明細は「一式」にせず、作業項目ごとに分けて書く。
- 備考に「含まないもの」と修正回数、著作権の扱いを書く。
- 下請法の対象なら、発注時に直ちに書面を交付し、支払期日は納品後60日以内にする。
- 電子データでのやり取りなら収入印紙は不要。
掲載している金額は、一般的な発注で見かける水準をもとにした目安です。 実際の費用は要件・地域・体制によって変わります。必ず複数社から見積もりを取り、 「何が含まれていて、何が含まれていないか」を比べたうえでご判断ください。