発注側が用意する素材|形式・時期・権利の確認
縮小された写真は元に戻せません。渡し方で仕上がりが変わります。
ホームページ制作では、発注した側にも作業があります。 この準備が遅れると、制作会社が動けず、全体が止まります。
ここでは何を、どの形式で、いつまでに用意すればよいかをまとめます。 発注前に読んでおくと、着手後の負担が大きく減ります。
用意するものの一覧
| 素材 | 形式 | 注意点 |
|---|---|---|
| ロゴ | AI または SVG | PNGだけだと印刷や拡大に使えない |
| コーポレートカラー | 色番号(CMYK/RGB/16進) | 「うちの青」では伝わらない |
| 会社情報 | テキスト | 登記上の正式名称・住所・設立日 |
| 沿革 | テキスト | 年月と出来事。既存の会社案内から転記できる |
| 各ページの原稿 | テキスト(Word/Googleドキュメント) | PDFや画像で渡すと転記が発生する |
| 写真 | JPEG(できるだけ大きいサイズ) | 圧縮済みの小さい画像は使えない |
| 図版・グラフ | 元データ(Excel/PowerPoint) | 画像だと修正できない |
| PDF資料 | そのまま掲載するか、HTML化するか決める | |
| 取引先・実績のリスト | テキスト | 掲載許諾が取れているか要確認 |
| 各種アカウント情報 | — | サーバー・ドメイン・解析ツール |
写真は「大きいまま」渡す
最も多いトラブルが、写真のサイズ不足です。
- 過去に誰かがブログ用に縮小した画像しか残っていない
- PowerPointの資料に貼られた画像を抜き出して渡す
- メールで送る際に自動圧縮されている
- チャットツール経由で画質が落ちている
縮小された画像は元に戻せません。 トップのメインビジュアルに使う写真は、 横幅2,000ピクセル以上が必要になります。 スマートフォンやデジタルカメラで撮った元データがあれば、 加工せず、そのままファイル転送サービスで渡してください。
原稿はテキスト形式で渡す
原稿をPDFや画像、紙の会社案内のスキャンで渡すと、 制作会社側で文字を打ち直す工数が発生します。 誤字の混入原因にもなります。
推奨はGoogleドキュメントなどの共有できる形式です。 修正のたびにファイルをやり取りする必要がなく、 どれが最新版か分からなくなる事故も防げます。
ページごとに1ファイル(または1見出し)にまとめ、 どのページの原稿か分かるようにファイル名を付けてください。 「原稿.docx」が10個並ぶと、制作会社側で照合に時間がかかります。
権利の確認が必要なもの
| 素材 | 確認すること |
|---|---|
| 社員の写真 | 本人の掲載同意(退職後の扱いも) |
| 顧客名・ロゴの掲載 | 先方の許諾。契約で禁止されている場合がある |
| 導入事例 | 掲載範囲と、公開前の内容確認 |
| 過去に外注した写真・イラスト | 使用範囲。今回の用途が含まれるか |
| 購入した素材 | ライセンスの範囲。ウェブ利用が可能か |
| 地図 | 地図サービスの利用規約に沿っているか |
取引先のロゴ掲載は、必ず許諾を取ってください。 「取引実績」として社名やロゴを並べたいという要望はよくありますが、 秘密保持契約で取引の事実自体を公表できない場合があります。 無断掲載が発覚すると、取引そのものに影響します。
他社サイトの画像や文章の流用は絶対に避けてください。 「参考にしたい」と制作会社に見せるのは問題ありませんが、 そのまま使うと著作権侵害になります。 文章についても、他社の説明文をほぼそのまま使うと問題になります。
渡す時期
| 素材 | 渡す時期 | 理由 |
|---|---|---|
| ロゴ・カラー | キックオフ時 | デザインの前提になる |
| サイト構成の希望 | キックオフ時 | 設計の起点 |
| 写真 | デザイン着手前 | 写真の質でレイアウトが変わる |
| 原稿 | デザイン確定前後 | 文量でレイアウトが決まる |
| アカウント情報 | 実装開始まで | 公開作業に必要 |
写真をデザインより先に渡すのが重要です。 デザインが先に決まると、 「この構図の写真が必要」という条件が後から付き、撮り直しになります。 手元にある写真を先に見せておけば、それを活かした設計にしてもらえます。
準備を軽くする方法
- 原稿フォーマットをもらう(項目と文字数の目安がある枠に埋める形にする)
- 既存の会社案内・提案書を渡す(そこから制作会社が骨子を作れる)
- 書けない部分はヒアリングにしてもらう(話すほうが早いことが多い)
- 写真は撮影を依頼する(探す時間より安く済むことがある)
「全部自社で用意する」と決める前に、費用を確認してください。 原稿作成を依頼すると1ページ2万〜6万円ですが、 社内で数か月止まる損失のほうが大きいことがあります。 公開が3か月遅れることの機会損失と比べて判断してください。
よくある質問
ロゴはPNG画像しかありません。
制作は可能ですが、拡大するとぼやけます。元データ(AI形式)が制作した会社に残っている可能性があるので、まず問い合わせてください。見つからない場合、画像からベクター化する作業に3万〜10万円程度かかります。
他社サイトの画像を参考に使ってもいいですか?
いけません。写真・イラスト・図版には著作権があり、無断で使用すると損害賠償を請求されることがあります。「参考として制作会社に見せる」のは問題ありませんが、そのままサイトに載せることはできません。
素材はどのタイミングで渡せばいいですか?
早いほど良く、キックオフ直後が理想です。写真の点数と質はデザインを左右するため、デザインが上がってから素材を集めると、写真に合わせてレイアウトを作り直すことになります。
素材が足りない場合はどうなりますか?
仮の素材で進めることになります。ただし仮のままで公開されてしまう例が実際にあるので、「これは仮です」と分かる形にしておいてください。公開前チェックの項目に「仮素材が残っていないか」を必ず入れます。
掲載している金額は、一般的な発注で見かける水準をもとにした目安です。 実際の費用は要件・地域・体制によって変わります。必ず複数社から見積もりを取り、 「何が含まれていて、何が含まれていないか」を比べたうえでご判断ください。