ホームページの予算の立て方と、社内稟議の通し方
「効果が出ます」より「何を測って判断するか」のほうが通ります。
ホームページ制作の予算は、 「いくらかかるか分からないから決められない」という状態で止まりがちです。
ここでは要件から概算を出す方法と、 社内で承認を得るための組み立て方を整理します。
予算は要件から出す
制作費は、おおまかに次の要素の積み上げで決まります。 ページ数だけでは決まりません。
| 要素 | 金額への影響 |
|---|---|
| ページ数 | 基本。デザインするページと使い回すページで単価が違う |
| デザインの作り込み | テンプレート活用かオリジナルか |
| 原稿を誰が書くか | 依頼すると1ページ2万〜6万円 |
| 写真を撮るか | 撮影で5万〜20万円 |
| 自社更新できる範囲 | 更新可能な箇所を増やすほど上がる |
| 機能(フォーム・検索・会員) | 件数と複雑さで大きく変動 |
| 多言語対応 | 言語数ぶん増える |
「原稿を誰が書くか」で総額が数十万円変わります。 見積もりを比べるときは、まずこの条件が揃っているかを確認してください。 安い見積もりは「原稿は発注者が用意する」前提であることが多く、 その工数は社内に降りかかります。
初期費用だけで考えない
稟議で最も多い失敗は、初期費用だけを申請してしまうことです。 公開後に運用の予算が無く、更新も改善もできないまま数年が過ぎます。
| 費目 | 年間の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| サーバー | 1万〜4万円 | 共用サーバーの場合 |
| ドメイン | 3,000〜1万円 | co.jp は他より高い |
| 保守(更新・障害対応) | 6万〜36万円 | 月5,000〜30,000円 |
| 更新代行 | 0〜60万円 | 依頼の頻度による |
| コンテンツ追加 | 0〜100万円以上 | 記事・事例を増やす場合 |
最低でも初期費用の10〜20%を、年間の運用予算として見込んでください。 この枠が無いと、公開直後の状態のまま固定されます。 ホームページの成果は公開後の改善で伸びるため、ここを削ると投資全体が無駄になります。
予算の枠から逆算する場合
先に上限が決まっている場合は、優先順位を先に決めます。 すべてを均等に薄めると、どこにも効果が出ません。
| 予算 | できること | 削るところ |
|---|---|---|
| 50万円前後 | テンプレート活用で必要ページのみ | 撮影・原稿・オリジナルデザイン |
| 100〜200万円 | オリジナルデザイン+CMS+主要ページ | 撮影は要所のみ/原稿は自社 |
| 300万円前後 | 上記+撮影+原稿+事例ページ | — |
| 500万円以上 | 上記+多言語・システム連携・継続改善 | — |
予算が限られているなら、ページ数を減らしてください。 全ページを薄く作るより、 実際に見られるページ(トップ・主力サービス・事例・採用)だけを きちんと作るほうが成果が出ます。 足りないページは後から追加できます。
稟議を通す組み立て方
決裁者が知りたいのは、デザインではなく 「いくら使って、何がどう変わるのか」です。
- 現状の数字を書く(問い合わせ件数/採用の応募数/営業が説明に使っている時間)
- 問題を1つに絞る(複数並べると論点がぼやける)
- それが何によって起きているかを書く(スマートフォンで読めない、事例が無い、等)
- 費用を初期と年間に分けて書く
- 何を測って成否を判断するかを書く
5つめが最も重要です。 「問い合わせが増えます」と断言すると、 達成できなかったときに次の投資が通らなくなります。 「公開後6か月間、問い合わせ件数と検索流入を四半期ごとに報告する」と 測り方のほうを約束するほうが、意思決定はしやすくなります。
補助金を検討する
中小企業向けの補助金がホームページ制作に使えることがあります。 ただしスケジュールへの影響が大きい点に注意してください。
- 採択されるまで数か月かかる
- 交付決定前に発注すると対象外になる制度が多い
- 実績報告と証拠書類の提出が必要で、事務工数がかかる
- 単なるホームページ制作は対象外の制度もある
「急いで公開したい」案件では、補助金は諦めたほうがよい場合があります。 申請を待つ数か月のあいだ、現状のサイトで機会を失い続けることになります。 金額と時間、どちらを優先するかを先に決めてください。
見積もりを取る前に決めておく5つ
- 解決したい問題は何か(1つに絞る)
- ページ数の目安(現行サイトの構成をもとに)
- 原稿と写真は誰が用意するか
- 公開したい時期(そこから逆算して着手時期が決まる)
- 予算の上限(伝えたほうが比較しやすい提案が来る)
この5つが決まっていれば、精度の高い見積もりが取れます。 決まっていない状態で相見積もりを取ると、 各社が異なる前提で見積もるため、金額を並べても比較になりません。
よくある質問
相場が分からないので予算が立てられません。
順序が逆です。予算から入るのではなく、「何を解決したいか」「そのために何ページ必要か」を先に決めてください。要件が固まれば概算は出ます。どうしても先に枠が必要なら、同規模・同業種の相場を上限と下限の幅で押さえておく方法があります。
制作会社に予算を伝えると、その額いっぱいで見積もられませんか?
そうなることはありますが、伝えないほうが損をします。予算を伝えないと、各社が異なる前提で見積もるため比較できません。「上限200万円で、この範囲で最大限できることを提案してほしい」と伝えるのが最も効率的です。
公開後の費用はどれくらい見ておくべきですか?
初期費用とは別に、年間で保守・サーバー・ドメインが必要です。小規模なら年10万〜30万円、更新代行や広告運用まで含めるとそれ以上になります。初期費用だけで稟議を通すと、翌年に予算が無いという事態になります。
稟議が通りません。
「古いから作り直す」では通りません。現状の数字(問い合わせ件数、採用の応募数、営業の説明工数)と、それがどう変わるかを書いてください。効果を断言できなくても、「何を測って判断するか」まで書けば意思決定はしやすくなります。
掲載している金額は、一般的な発注で見かける水準をもとにした目安です。 実際の費用は要件・地域・体制によって変わります。必ず複数社から見積もりを取り、 「何が含まれていて、何が含まれていないか」を比べたうえでご判断ください。