検収と修正の進め方|「イメージと違う」でもめない方法
「なんとなく違う」では直せません。修正が何周も繰り返される原因です。
制作の終盤でもめる原因は、ほぼ「修正」の扱いです。
発注側は「まだ完成していない」と考え、 制作会社は「仕様変更なので追加費用」と考える。 この認識のずれは、始まる前に線引きしておけば防げます。
修正と仕様変更の違い
| 種類 | 例 | 通常の扱い |
|---|---|---|
| 不具合の修正 | リンク切れ、崩れ、誤字 | 無償 |
| 指示との相違 | 伝えた内容が反映されていない | 無償 |
| デザインの調整 | 色味・余白の微調整 | 規定回数まで無償 |
| 方向性の変更 | デザイン案を作り直す | 有償になり得る |
| 仕様の追加 | ページを増やす、機能を足す | 有償 |
| 後戻り | 確定した内容を覆す | 有償になり得る |
「後戻り」が最ももめます。 デザインを確定して実装に進んだ後で、 「やっぱりトップの構成を変えたい」となると、 実装のやり直しになり、費用も期間も追加されます。
これを防ぐために、 各工程の終わりに「確定」を明示するのが実務的です。 「このデザインで確定します。以降の変更は追加費用が発生します」と 書面またはメールで残しておけば、双方の認識が揃います。
デザイン確認のコツ
デザインの確認が長引く最大の原因は、 「なんとなく違う」という指摘です。 制作会社は何を直せばよいか分からず、 当てずっぽうの修正が繰り返されます。
| 伝わらない言い方 | 伝わる言い方 |
|---|---|
| なんとなく古い感じがする | 書体が明朝で堅い印象。ゴシックにできないか |
| もっとインパクトが欲しい | トップの見出しが小さく、何の会社か分かりにくい |
| 安っぽく見える | 色数が多い。3色までに絞れないか |
| 他社っぽい | 参考として挙げた◯◯社に似すぎている |
| 使いにくそう | 問い合わせボタンが下までスクロールしないと出てこない |
「何が」「どうなっているから」「どうしてほしい」の3点で書いてください。 理由が分かれば、制作会社側から 「その目的なら別の方法もあります」という提案が出てきます。
また、着手前に参考サイトを3つ挙げておくと、 方向性のずれが起きにくくなります。 このとき「かっこいいから」ではなく、 「この余白の取り方」「この写真の使い方」と、 どこが良いのかを言葉にするのが重要です。
社内の意見をまとめる
複数人の指摘をそのまま制作会社に渡すと、 矛盾した指示になり、修正が収束しません。
- 取りまとめ役を1人決める
- 社内の意見を集めてから、矛盾を解消する
- 優先度を付ける(必ず直す/できれば直す/参考意見)
- 1つの窓口から、1回でまとめて渡す
「A部長は青、B部長は緑」を制作会社に判断させないでください。 どちらを選んでも、もう一方から差し戻されます。 社内で決着をつけてから渡すのが、結果的に最も早く終わります。
検収でのチェック項目
見た目の確認は誰でもやりますが、 公開後に困るのは動作の不備です。
| 項目 | 確認方法 | 放置した場合 |
|---|---|---|
| 問い合わせフォーム | 実際に送信し、迷惑メールも確認 | 問い合わせが届かないまま数か月 |
| 自動返信メール | 送信者側に届くか | 相手が不安になり離脱 |
| スマートフォン表示 | 実機で全ページ | 半数の訪問者が読めない |
| リンク切れ | 全ページのリンクを確認 | 404が放置される |
| 旧URLからの転送 | 旧サイトの主要URLを開く | 検索評価と流入を失う |
| ページタイトル | ブラウザのタブに出る文字 | 全ページ同じで検索に不利 |
| アクセス解析 | テスト訪問が計測されるか | データが取れていない |
| 仮素材の残り | ダミーテキスト・仮画像の有無 | そのまま公開される |
| 会社情報 | 住所・電話・登記名称 | 誤りが長期間放置される |
「仮素材の残り」は実際によく起こります。 下層の目立たないページに、 意味のないダミーテキストや別の会社名が残ったまま公開されることがあります。 検収では、必ず全ページを一度は開いてください。
検収の進め方
- 確認期間を確保する(1週間程度。公開日の前日に見るのは無理)
- 複数人で分担する(1人で全ページは見落とす)
- チェックリストを共有する(上の表をそのまま使える)
- 指摘を1つの表にまとめる(ページ/該当箇所/内容/優先度)
- 修正後にもう一度確認する(直した箇所の周辺が崩れることがある)
5つめを飛ばさないでください。 1か所を直した影響で、別の場所のレイアウトが崩れることがあります。 修正が入った後は、そのページ全体を見直すのが確実です。
公開後の対応を確認しておく
- 不具合の無償対応期間(検収後30日、など)
- 軽微な修正の依頼方法と単価
- 緊急時の連絡先と対応時間(サイトが落ちたときにどうするか)
- 保守契約の内容(何が含まれ、何が別料金か)
「サイトが表示されなくなったときに誰に連絡するか」を決めておいてください。 公開してしばらく経ってから障害が起きたとき、 担当者が分からず何日も止まる、という事態を防げます。
よくある質問
修正は何回まで無料ですか?
契約によりますが、デザインは2回まで、実装後は「制作会社側の不備は無償/仕様変更は有償」が一般的です。重要なのは回数より線引きで、「指示と違う」と「あとで気が変わった」をどう扱うかを契約時に決めておいてください。
「イメージと違う」と言ったら追加費用になりますか?
最初に伝えた要望と違うなら無償で直すべきですが、伝えていなかった好みの話なら有償になり得ます。これを避けるには、デザイン着手前に参考サイトを3つ挙げ、それぞれ「どこが良いか」を言葉にしておくのが有効です。
検収するときに何を見ればいいですか?
見た目より先に、動作を確認してください。フォームが届くか、スマートフォンで崩れないか、リンクが切れていないか、旧URLから転送されるか。この4つは公開後に気づいても手遅れになりやすい項目です。
公開後に不具合が見つかったら直してもらえますか?
契約内容によりますが、納品物の不備であれば通常は無償で対応されます。「検収後◯日以内」という期間が設定されていることが多いので、契約書で確認してください。期間内にしっかり確認することが重要です。
掲載している金額は、一般的な発注で見かける水準をもとにした目安です。 実際の費用は要件・地域・体制によって変わります。必ず複数社から見積もりを取り、 「何が含まれていて、何が含まれていないか」を比べたうえでご判断ください。