士業事務所サイトの費用相場と、広告規制
専門性を示しつつ相談のハードルを下げる。加えて広告規制があります。
税理士・弁護士・社労士・司法書士といった士業の事務所サイトは、 専門性を示しつつ、相談のハードルを下げるという 相反する要求を同時に満たす必要があります。
加えて広告に関する規制があるため、 一般の企業サイトと同じ感覚で作ると問題になることがあります。
費用の目安
| 内容 | ページ数 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 基本(事務所案内・業務内容・報酬) | 6〜10ページ | 40万〜100万円 |
| 分野別ページあり | 12〜25ページ | 100万〜250万円 |
| 大規模(複数拠点・多分野・採用) | 30ページ以上 | 250万〜600万円 |
| 相談予約システム | — | +20万〜100万円 |
士業サイトで費用が上がりやすいのは、取扱分野ごとにページを作る場合です。 相続、事業承継、労務トラブル、債務整理といった分野は、 検索される言葉も、読み手の状況も異なります。 1ページにまとめると、どの検索にも引っかからなくなります。
広告規制で注意すること
| 避けるべき表現 | 理由 |
|---|---|
| 「必ず解決します」「絶対に勝てます」 | 結果を保証する表示 |
| 「勝訴率◯%」 | 誤解を招く表示として制限される(弁護士) |
| 「地域No.1」「日本一」 | 根拠が示せない比較優良表示 |
| 「業界最安値」 | 同上 |
| 他事務所を貶める表現 | 品位を害する表示 |
| 依頼者が特定できる事例 | 守秘義務 |
規制の内容は資格ごとに異なります。 弁護士には日本弁護士連合会の業務広告に関する規程と指針があり、 税理士・社労士・司法書士もそれぞれ会則や指針を持っています。 制作前に、所属会の定めを確認してください。
実務的には、断定的な表現を避け、検証可能な事実に置き換えるのが基本です。 「必ず解決します」より「相続案件の対応実績 年間120件」のほうが、 規制上も安全で、読み手への説得力も高くなります。
相談者が確認していること
| 情報 | なぜ見るか | 優先度 |
|---|---|---|
| 取り扱っている分野 | 自分の相談を受けてもらえるか | 必須 |
| 報酬の目安 | いくらかかるか分からないのが最大の不安 | 必須 |
| 相談の流れ | 初回で何をするのか | 必須 |
| 初回相談が有料か無料か | 問い合わせの直前に確認される | 必須 |
| 担当者の顔と経歴 | 誰に話すことになるのか | 高 |
| 所在地・アクセス | 訪問できる距離か | 高 |
| 対応可能な時間・曜日 | 平日昼間に行けるか | 中 |
「初回相談が有料か無料か」を明記していないサイトが多くあります。 相談者はここで止まります。 無料なら大きく書き、有料ならその額と時間を明記してください。 曖昧にしておいて問い合わせを増やそうとすると、 かえって問い合わせが減ります。
報酬の見せ方
案件によって変動するため一律には示せませんが、 何も書かないのが最も不利です。
- 基本報酬と実費を分けて書く(登録免許税・印紙代・交通費など)
- 「◯万円から」という下限を示す
- 何によって金額が変わるかを書く(相続人の数、資産の規模、争いの有無など)
- 顧問契約は月額の幅を示す
- 見積もりが無料であることを明記する
実費を分けて書くのは、トラブル防止の意味もあります。 「報酬10万円」とだけ書いてあると、 実費を含めた請求額との差が不信につながります。
顔と経歴を出す
士業は個人への信頼で選ばれる性質が強い業種です。
- 顔写真(人物が見えないと相談しにくい)
- 資格の登録番号・所属会
- 経歴と、力を入れている分野
- 執筆・講演・所属団体(専門性の裏付け)
- 相談時に大切にしていること(人柄が伝わる)
フリー素材のスーツ姿の写真は逆効果です。 実在感が薄れ、かえって不信を招きます。 撮影の費用を1か所だけかけるなら、ここに使ってください。
分野別ページの作り方
相談者は「税理士」ではなく「相続 税理士 ◯◯市」で探します。 取り扱う分野ごとにページを分けることで、 それぞれの検索に対応できるようになります。
- その分野で相談者が困っている状況を書く
- 放置するとどうなるかを書く(期限がある手続きは特に)
- 自事務所での進め方を書く
- 報酬の目安を書く
- よくある質問を書く
2つめは士業サイトで特に効きます。 相続放棄の3か月、遺留分の期間制限、労働審判の対応期限など、 期限がある手続きは、それを知らせること自体が価値になります。
※ 本記事は一般的な整理です。 広告表現の適否については、所属する会の規程・指針をご確認ください。
よくある質問
士業でも広告の規制がありますか?
あります。特に弁護士は日本弁護士連合会の「弁護士等の業務広告に関する規程」により、誇大な表現、事実に反する表示、訴訟の勝訴率など誤解を招く表示が制限されています。税理士・社労士・司法書士も、各会の会則や指針に従う必要があります。
「地域No.1」と書いてはいけませんか?
客観的な根拠が示せない比較優良表示は避けるべきです。仮に事実であっても、比較の対象や基準が不明確だと誤解を招く表示と判断され得ます。「対応件数◯件」「創業◯年」のような検証可能な事実に置き換えるほうが安全で、説得力もあります。
報酬額は載せるべきですか?
載せたほうが問い合わせは増えます。士業は「いくらかかるか分からない」ことが相談の障壁になっているためです。ただし案件によって変動する旨と、別途かかる実費(登録免許税・印紙代など)を明記してください。表示した額と実際の請求が食い違うとトラブルになります。
解決事例は載せてよいですか?
守秘義務があるため、<strong>依頼者が特定されない形にする必要があります。</strong>業種・規模・相談内容の類型にとどめ、固有名詞や特徴的な事情は書かないでください。依頼者の同意があっても、掲載範囲は慎重に判断すべきです。
掲載している金額は、一般的な発注で見かける水準をもとにした目安です。 実際の費用は要件・地域・体制によって変わります。必ず複数社から見積もりを取り、 「何が含まれていて、何が含まれていないか」を比べたうえでご判断ください。