RFP(提案依頼書)の書き方、完全マニュアル
項目ごとの書き方と例文、そのまま使える目次テンプレートを載せています。
RFP(提案依頼書)は形式が決まっている文書ではありません。 必要なのは、制作会社が見積もりを出せるだけの情報が書いてあることです。 ここでは項目ごとに、書き方と例文を示します。そのまま流用して構いません。
目次テンプレート
1. 会社概要 2. 背景と現状の課題 3. 本案件の目的とゴール 4. 対象範囲(ページ・機能) 5. 提供素材と担当分担 6. 予算 7. スケジュール 8. 体制(自社側の窓口・決裁者) 9. 提案してほしい内容 10. 選定基準 11. 提出方法・締切・問い合わせ先 12. 前提条件・留意事項
項目ごとの書き方
1. 会社概要
事業内容、規模、主な顧客層を簡潔に。制作会社が自社を理解する前提になります。
例:株式会社◯◯/1985年創業/従業員45名/ 産業機械向け精密部品の設計・製造。主な取引先は自動車部品メーカー(BtoB)。
2. 背景と現状の課題
なぜ今作るのかを書きます。ここが具体的だと、提案の質が変わります。 数字があれば必ず入れてください。
良い例:現サイトは2016年公開でスマートフォンに対応しておらず、
アクセスの68%を占めるスマホ利用者が読みにくい状態。
問い合わせは月2件で、うち採用に関する問い合わせが半数を占めるが、採用情報のページが無い。
悪い例:サイトが古いのでリニューアルしたい。
3. 目的とゴール
公開後に何が起きてほしいかを、できる限り測定可能な形で書きます。
例:
・製品に関する問い合わせを月2件から月8件に増やす
・採用応募を年5名から年15名に増やす
・営業が商談時に提示できる、技術力が伝わるページを持つ
4. 対象範囲
ページ一覧と必要な機能を書きます。確定していなくても、想定を書くほうが見積もりは正確になります。 「◯ページ程度(提案により増減可)」で構いません。
| 区分 | 記載例 |
|---|---|
| ページ | トップ/会社概要/事業内容(3種)/製品一覧・詳細(20点)/実績/採用(募集要項・社員紹介3名)/お問い合わせ/プライバシーポリシー |
| 機能 | お知らせの自社更新(CMS)/製品検索/問い合わせフォーム(自動返信つき)/英語版(トップと会社概要のみ) |
| 対応環境 | PC・スマートフォン・タブレット。主要ブラウザの最新版 |
| 対象外 | ロゴのリニューアル、パンフレットの制作は本件に含まない |
「含まないもの」を書くのが重要です。範囲の線引きが明確になります。
5. 提供素材と担当分担
ここが曖昧だと、見積もりは必ずズレます。表で示すのが確実です。
| 素材 | 自社 | 制作会社 |
|---|---|---|
| 原稿(会社概要・事業内容) | ◯ 箇条書きを提供 | 整文をお願いしたい |
| 製品写真 | ◯ 既存データあり | — |
| 社員・オフィス写真 | — | ◯ 撮影を依頼 |
| ロゴデータ | ◯ Illustrator 形式で提供 | — |
6. 予算
例:120万〜180万円(税別、制作費のみ)。 公開後の保守費は別途、月額での提案をお願いします。
7. スケジュール
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| ◯月◯日 | 提案・見積もりの提出期限 |
| ◯月◯日 | プレゼンテーション(各社60分) |
| ◯月◯日 | 発注先の決定・連絡 |
| ◯月 | 着手 |
| ◯月◯日 | 公開希望日(採用募集開始に合わせるため変更不可) |
動かせない日にはその理由を添えると、無理な提案が来なくなります。
8. 体制
自社の窓口担当、決裁者、確認にかかる日数(例:デザイン確認は社内回覧のため5営業日)を書きます。 制作会社はこれをもとにスケジュールを引きます。
9. 提案してほしい内容
例:
・課題に対する考え方と、サイトで解決する方針
・サイト構成案(ページ一覧)
・トップページのデザイン方向性(ラフ・参考事例で可。本制作は不要)
・体制と担当者の経歴、進行スケジュール
・見積書(作業項目ごとの内訳を明記)
・弊社と同業種または近い規模の実績
※ デザイン案の作成を無償で求めるのは避けてください。応じられない会社が辞退し、比較対象が減ります。
10. 選定基準
例:提案内容40%/見積金額30%/実績・体制20%/担当者との相性10%
11. 提出方法・締切・問い合わせ先
提出先のメールアドレス、形式(PDF)、締切日時、質問の受付期限を明記します。 質問と回答は全社に共有することも書いておきます。
12. 前提条件・留意事項
- 本 RFP の内容は機密として扱うこと
- 提案にかかる費用は各社の負担とすること
- 提案物の著作権の扱い
- 再委託の可否と、その場合の事前連絡
- 形容詞で書く:「おしゃれ」「かっこいい」は判断基準になりません。「情報が探しやすい」「製品の精度が伝わる」のように機能で書きます
- 優先順位が無い:全部が最重要だと、予算超過時に何を削るか決められません。「必須/できれば/将来」の3段階に分けてください
- 手段を先に決める:「WordPress で」と書くと、より適した提案が出てきません
- 予算を書かない:最も比較を難しくする書き方です
よくある質問
RFPは何ページくらいが適切ですか?
100万円以下の案件ならA4で1〜2枚、100万〜500万円で5〜10枚、それ以上の規模で10枚以上が目安です。長ければよいものではなく、判断に必要な情報が揃っているかが重要です。
予算はいくらと書けばよいですか?
「120万〜180万円(税別)」のように幅で書きます。上限だけを書くと全社が上限いっぱいで出してくるため、下限も示すのが実務的です。予算が固まっていない場合は「◯◯万円を想定していますが、提案内容により相談可」と書きます。
提案の締切はどれくらい先に設定すべきですか?
2〜3週間が目安です。1週間では構成案まで練り込めず、1か月以上空けると案件の優先度が下がります。年度末など制作会社の繁忙期は余裕を持たせてください。
選定基準は公開すべきですか?
公開したほうがよい提案が集まります。「価格40%・提案内容40%・体制20%」のように配点まで示すと、各社が力を入れるポイントを絞れます。
まとめ
- RFP は形式より中身。見積もりが出せる情報が揃っていればよい。
- 背景と目的は数字で書く。ここが提案の質を決める。
- 「含まないもの」と素材の担当分担を必ず書く。
- 要望は「必須/できれば/将来」に分け、優先順位をつける。
掲載している金額は、一般的な発注で見かける水準をもとにした目安です。 実際の費用は要件・地域・体制によって変わります。必ず複数社から見積もりを取り、 「何が含まれていて、何が含まれていないか」を比べたうえでご判断ください。