社労士に頼むか自社でやるか|判断の分かれ目
従業員が20人を超えるあたりで、外注のほうが安くなることが多くあります。
労務管理を自社でやるか外注するかは、従業員数だけでは決まりません。 入退社の頻度と担当者がいるかで判断が変わります。
自社と外注の比較
| 自社で行う | 社労士に頼む | |
|---|---|---|
| 費用 | 担当者の人件費(時間分) | 月2万〜8万円+別料金 |
| スピード | すぐ動ける | 依頼から1〜3営業日 |
| 法改正への対応 | 自分で調べる必要がある | 知らせてくれる |
| 担当者の不在 | 止まる | 影響しない |
| 給与情報の秘匿 | 社内に知る人が増える | 外部で完結する |
| 判断が要る場面 | 調べても答えが出ないことがある | 相談できる |
自社:給与計算 月4時間+手続き 月2時間+年次20時間 = 年約92時間。
担当者の時給を2,500円とすると 年23万円(教育や調べる時間は含まず)。
外注:顧問+給与計算で月5万円 = 年60万円+年末調整など約10万円 = 年70万円。
金額だけなら自社が安く見えます。
ただし担当者が辞めたら止まる、
法改正を追えないというリスクは金額に表れません。
そこをどう見るかが判断の分かれ目です。
外注したほうがよい場面
- 入退社が多い:年10件を超えると、手続きの量と期限管理が負担になる
- 担当者が1人しかいない:休職・退職で業務が止まる
- 勤務形態が複雑:シフト制、変形労働時間制、複数の手当
- 給与額を社内で知られたくない:役員報酬、個別の評価に基づく給与
- 労務トラブルの芽がある:問題社員、長時間労働、未払い残業の懸念
- 助成金を使いたい:要件の確認と書類の整備に手間がかかる
自社で回せる場合
- 従業員が10人以下で、入退社がほとんどない
- 全員が同じ勤務形態(固定時間・固定給)
- クラウド給与ソフトを導入していて、勤怠が自動連携されている
- 労務に詳しい担当者がいて、その人以外にも分かる状態になっている
部分的に頼む選択
| 頼み方 | 費用の目安 | 向いている状況 |
|---|---|---|
| 手続きのみスポット | 1件 1万〜2万円 | 入退社が年数件 |
| 給与計算のみ | 基本料+1人 500〜1,500円 | 手続きは自社でできる |
| 就業規則のみ | 20万〜50万円 | 整備が済めば当面不要 |
| 相談のみ(スポット) | 1時間 5千〜3万円 | 判断に迷ったときだけ |
| 顧問契約 | 月2万〜8万円 | 継続的に発生する |
労務の実務は、給与額・評価・家族構成といった
他の社員には見せられない情報を扱います。
そのため担当者が1人に固定されがちで、
その人が急に休むと給与計算も手続きも止まります。
バックアップを作るのが難しい業務だからこそ、
外注の価値が金額以上に出る領域です。
よくある質問
何人くらいから社労士に頼むべきですか?
<strong>従業員20人</strong>があたりが目安です。このあたりから入退社の手続きが定期的に発生し、労働時間や休暇の管理も複雑になります。ただし入退社の多い業種(飲食・小売・介護)は、10人程度でも外注の価値が出ます。
自社でやると何時間かかりますか?
従業員20人で、給与計算が月3〜6時間、入退社の手続きが1件あたり1〜2時間、年次手続き(算定基礎届・年度更新)が年10〜20時間ほどです。担当者の時給と、その時間を他に使った場合の価値で比べてください。
一部だけ頼むことはできますか?
できます。「手続きだけ」「給与計算だけ」「就業規則だけ」といった部分的な依頼に応じる事務所は多くあります。相談が必要になったときだけスポットで頼む形も可能です。
自社でやる場合、何に気をつければよいですか?
<strong>期限</strong>と<strong>法改正</strong>の2つです。社会保険の手続きは5日以内のものが多く、社会保険料率や最低賃金は毎年変わります。担当者が1人だと、その人が休んだときに止まります。
まとめ
- 目安は従業員20人。ただし入退社が多い業種は10人でも外注の価値がある。
- 金額だけなら自社が安く見えるが、担当者不在で止まるリスクは金額に表れない。
- 「手続きだけ」「給与計算だけ」といった部分的な依頼もできる。
- 自社で行うなら、期限管理と法改正の追跡を仕組みにしておく。
費用の詳細は 社労士の顧問料の相場、 事務所の選び方は 社労士の選び方 にまとめています。
掲載している金額は、一般的な発注で見かける水準をもとにした目安です。 実際の費用は要件・地域・体制によって変わります。必ず複数社から見積もりを取り、 「何が含まれていて、何が含まれていないか」を比べたうえでご判断ください。