労働基準監督署の調査|準備と当日の対応
見られるのは賃金台帳・出勤簿・就業規則の3点が中心です。
労働基準監督署の調査(臨検)で見られるのは、 賃金台帳・出勤簿・就業規則の3点が中心です。 この3つの整合が取れていれば、大きな問題にはなりにくくなります。
調査の種類
| 種類 | きっかけ | 特徴 |
|---|---|---|
| 定期監督 | 計画に基づく選定 | 事前連絡があることが多い。業種や規模で選ばれる |
| 申告監督 | 従業員・退職者からの申告 | 申告内容に絞って調べる。予告なしのこともある |
| 災害時監督 | 労働災害の発生 | 安全管理の状況を確認する |
| 再監督 | 是正勧告後のフォロー | 指摘事項が直っているかを確認 |
用意する書類
- 労働者名簿(氏名、生年月日、住所、雇入れ年月日)
- 賃金台帳(労働時間数、時間外労働時間、各手当の内訳)
- 出勤簿・タイムカード(直近3〜6か月分を求められることが多い)
- 就業規則(届出済みのもの。付随規程も)
- 36協定(届出の控え。有効期限内か確認)
- 雇用契約書・労働条件通知書
- 年次有給休暇の管理簿
- 健康診断の結果(実施記録)
・出勤簿の時間と賃金台帳の労働時間数が一致しているか
・就業規則の所定労働時間と実際の運用が合っているか
・36協定の上限を超えた月がないか
ここがずれていると、必ず指摘されます。
調査の連絡が来てから直すのではなく、
普段から一致させておくことが唯一の対策です。
指摘されやすい項目
| 項目 | よくある指摘 |
|---|---|
| 労働時間の把握 | タイムカードがない。自己申告のみで実態と乖離している |
| 割増賃金 | 残業代の計算基礎に手当が含まれていない。端数処理が不適切 |
| 固定残業代 | 何時間分か明示していない。超過分を支払っていない |
| 36協定 | 締結・届出をしていない。上限を超えている |
| 年次有給休暇 | 年5日の取得義務を果たしていない。管理簿がない |
| 休憩 | 6時間超で45分、8時間超で1時間が取れていない |
| 労働条件の明示 | 書面を交付していない |
| 健康診断 | 年1回実施していない。深夜業は年2回 |
当日の対応
- 社労士に同席してもらう:日程を調整すれば可能。指摘の意味を正確に理解できる
- 分からないことは即答しない:「確認して回答します」で構わない
- 実態をそのまま伝える:取り繕うと、後で矛盾が出る
- 指摘内容をメモする:是正報告書を作る際に必要になる
遡って支払うよう求められます。
賃金請求権の消滅時効は当分の間 3年とされており、
従業員数が多いと金額が大きくなります。
是正勧告を受けてから慌てるより、
自主的に点検して直しておくほうが、
金額も従業員との関係も傷が浅く済みます。
調査後の流れ
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 是正勧告書の交付 | 法違反として指摘された事項。期限が示される |
| 指導票の交付 | 法違反ではないが改善が望ましい事項 |
| 是正 | 指摘された内容を直す。未払いがあれば支払う |
| 是正報告書の提出 | 何をどう直したかを書面で報告する |
| 再監督 | 必要に応じて、直っているかを確認される |
よくある質問
労基署の調査では何を見られますか?
中心は<strong>賃金台帳・出勤簿(タイムカード)・就業規則</strong>の3点です。ここから、労働時間が適正に把握されているか、残業代が正しく払われているか、36協定の範囲に収まっているかを確認されます。
調査は断れますか?
労働基準監督官には臨検の権限があり、正当な理由なく拒むと罰則の対象になります。ただし<strong>日程の調整は相談できます</strong>。「社労士に同席してもらいたいので調整させてください」と伝えて構いません。
是正勧告を受けたらどうなりますか?
指摘された事項を是正し、<strong>是正報告書</strong>を提出します。未払い賃金があれば遡って支払うことになります。報告書を出さない、あるいは是正しないまま放置すると、送検に至ることもあります。
なぜうちに調査が来たのですか?
定期監督(計画的に選ばれる)、申告監督(従業員や退職者からの申告)、災害時監督(労災の発生後)などがあります。理由は通常明かされませんが、<strong>退職者からの申告</strong>が入口になることは少なくありません。
まとめ
- 見られるのは賃金台帳・出勤簿・就業規則の3点が中心。
- この3つの整合が取れていれば、大きな問題にはなりにくい。
- 日程は調整できる。社労士に同席してもらう。
- 未払い残業は3年分遡る。指摘される前の自主点検が最も傷が浅い。
掲載している金額は、一般的な発注で見かける水準をもとにした目安です。 実際の費用は要件・地域・体制によって変わります。必ず複数社から見積もりを取り、 「何が含まれていて、何が含まれていないか」を比べたうえでご判断ください。