営業代行の契約で決めること|成果の定義と情報の扱い
「アポ1件」の定義を書いていないと、請求の段階で必ず揉めます。
営業代行は、成果物が「モノ」ではないぶん、 何をもって仕事が完了したかが曖昧になりがちです。 揉めるのはたいてい、契約書に書いていない部分です。
必ず決める6項目
| 項目 | 決めないと起きること |
|---|---|
| 成果(アポ)の定義 | 質の低い面談まで請求される |
| 報酬の計算方法と支払時期 | 締めと請求のタイミングがずれる |
| リスト・顧客情報の帰属 | 終了後に見込み客の情報が残らない |
| 報告の頻度と内容 | 改善が回らない |
| 秘密保持・個人情報の扱い | 提供した顧客情報の管理責任が曖昧 |
| 契約期間・更新・解約 | 合わなくても抜けられない |
成果の定義の書き方
曖昧:「アポイント1件につき金20,000円とする」
直した例:
「アポイントとは、乙が獲得した、甲の商品に関する
30分以上の商談の機会であって、
面談相手が導入の決裁に関与する者であるものをいう。
オンライン会議による面談を含む。
ただし、次のものはアポイントに含まない。
(1) 情報収集のみを目的とすることが事前に明らかなもの
(2) 甲の既存顧客および甲が事前に指定した企業
(3) 面談日の前日以降に相手方の都合で中止されたもの
(4) 同一企業・同一部署に対する2回目以降のもの」
情報の扱い
| 論点 | 決めておく内容 |
|---|---|
| 提供リストの利用範囲 | 本件以外に使わない。複製・再委託の可否 |
| 作成リストの帰属 | 終了時に引き渡すか、代行会社に残るか |
| 接触履歴・商談メモ | 形式(CSV等)と引き渡しの時期 |
| 個人情報の保管と削除 | 終了後◯日以内に削除し、報告する |
| 再委託の可否 | 誰が実際に架電するか。無断再委託の禁止 |
| 名乗り方 | 自社名を名乗るか、代行会社名か |
※ 自社名で架電してもらう場合、 相手にとっては自社が電話をかけたのと同じです。 トークの内容と、クレーム時の対応窓口を決めておいてください。
報告の取り決め
| 頻度 | 内容 |
|---|---|
| 日次 | 架電数、接触数、アポ数(速報) |
| 週次 | アポの内訳、断られた理由の分類、翌週の計画 |
| 月次 | KPIの達成状況、商談化率、改善提案 |
| 随時 | クレーム、重大な反応、リストの枯渇 |
解約まわり
| 条項 | 確認すること |
|---|---|
| 最低契約期間 | 3〜6か月が一般的。初回は短めに |
| 自動更新の有無 | 更新しない場合の通知期限 |
| 中途解約の通知期間 | 1〜2か月前が一般的 |
| 違約金 | 残期間の何割か。上限があるか |
| 終了時のデータ引き渡し | いつ、どの形式で |
| 進行中の商談の扱い | 終了後に受注したものの報酬をどうするか |
※ 最後の項目は見落としがちです。 契約終了後2〜3か月以内に受注した案件について 成果報酬が発生するかどうかを、あらかじめ決めておいてください。
よくある質問
契約書で最も揉めるのはどこですか?
<strong>成果(アポ)の定義</strong>です。「アポイント1件につき2万円」とだけ書かれていると、情報収集目的の面談や、決裁権のない担当者との面談も請求対象になり得ます。誰と、何分、どういう状態の相手と会うのかを具体的に書いてください。当日キャンセルの扱いも決めておく必要があります。
リストや顧客情報は誰のものになりますか?
契約に書かなければ曖昧なままになります。<strong>自社が提供したリストは自社のもの</strong>と明記し、<strong>代行会社が作成したリストと接触履歴を契約終了時に引き渡してもらえるか</strong>を決めてください。ここを書いていないと、数か月かけて集めた「まだ受注していないが見込みのある相手」の情報が手元に残りません。
競合の商材も扱われたら困るのですが。
<strong>競業避止</strong>の条項で制限できます。ただし代行会社にとっては受注機会を狭めるため、完全な禁止は受け入れられないことが多く、「同一カテゴリの商材は同時期に受託しない」「担当者を分ける」といった形で折り合うのが現実的です。範囲(商材か、業界か)と期間を明確にしてください。
途中で解約できますか?
多くは<strong>1〜2か月前の書面通知</strong>で解約できる形です。ただし最低契約期間(3〜6か月)が設定されていると、その期間内は解約できないか、違約金が発生します。初回は<strong>短めの期間で始めて更新する</strong>形にしておくと、合わなかったときに抜けやすくなります。
掲載している金額は、一般的な発注で見かける水準をもとにした目安です。 実際の費用は要件・地域・体制によって変わります。必ず複数社から見積もりを取り、 「何が含まれていて、何が含まれていないか」を比べたうえでご判断ください。