WordPressの多言語化|4つの方法と規模別の選び方
定番プラグインが使えなくなり、選択肢が変わりました。規模ごとの現実的な方法を整理します。
WordPress を多言語対応にする方法は複数あります。 以前は定番のプラグインを入れれば済みましたが、 開発終了や有料化で選択肢が減り、状況が変わりました。
ここでは現実的な4つの方法を比較し、規模と更新頻度からどれを選ぶべきかを整理します。
4つの方法
| 方法 | 仕組み | 向いている規模 | 費用の目安 |
|---|---|---|---|
| 言語ごとに別インストール | WordPress を言語の数だけ設置し、独立して運用する | 〜10ページ・更新が少ない | 制作費 × 言語数(やや割引) |
| マルチサイト | 1つの WordPress で複数サイトを管理する標準機能 | 10〜50ページ・言語ごとに内容が違う | +20万〜50万円 |
| カスタムフィールド | 1記事の中に言語ごとの入力欄を持たせる | 50ページ以上・言語間で内容が対応している | +40万〜100万円 |
| プラグイン | 多言語化プラグインを導入する | 小〜中規模 | +5万〜30万円(+年額) |
小規模なら「別インストール」が最も確実
5〜10ページ程度で、更新もほとんどないサイトなら、 言語ごとに WordPress を別々にインストールするのが最善です。
| 内容 | |
|---|---|
| メリット | 仕組みが単純で壊れにくい。片方が壊れてももう片方に影響しない。特別な知識が不要。プラグインに依存しない |
| デメリット | 更新が言語の数だけ必要。デザイン変更も両方に反映が要る。WordPress本体の更新も別々 |
一見すると手間が増えるように見えますが、更新頻度が低ければ、その手間はほとんど発生しません。 年に数回しか触らないサイトのために、複雑な仕組みを入れて保守性を下げるほうが損になります。
設置は example.com と example.com/en/ のように
サブディレクトリで分けるのが扱いやすく、ドメインの評価も分散しません。
中規模なら「マルチサイト」
WordPress には、1つのインストールで複数のサイトを管理するマルチサイトという標準機能があります。
| 内容 | |
|---|---|
| メリット | 本体・テーマ・プラグインの更新が1回で済む。言語ごとにページ構成を変えられる。標準機能なので提供停止の心配がない |
| デメリット | 設定がやや複雑。対応していないプラグインがある。サーバー移行の難易度が上がる。1つの障害で全言語が止まる |
「日本語版と英語版で載せる内容が違う」場合に向いています。 海外向けには製品情報を厚くし、国内向けには採用情報を載せる、といった作り分けが自然にできます。
逆に、全ページを1対1で対訳させたい場合は、 マルチサイトだと対応関係を人が管理することになり、抜け漏れが起きやすくなります。
大規模なら「カスタムフィールド」
ページ数が多く、日本語と外国語が1対1で対応しているサイトでは、 1つの記事の中に言語ごとの入力欄を持たせる方法が有効です。
| 内容 | |
|---|---|
| メリット | 同じ画面で両言語を入力でき、翻訳漏れが起きにくい。記事の対応関係が構造として保証される。表示側で言語を切り替えるだけ |
| デメリット | 初期の設計・実装費用がかかる。言語追加時に改修が必要。編集画面が縦に長くなる |
翻訳漏れが起きないことが最大の利点です。 別インストールやマルチサイトでは「日本語版だけ更新して英語版が古いまま」という状態が起きますが、 同じ編集画面に両方の入力欄があれば、更新時に気づけます。
ページ数が多いサイトほど、この差が効いてきます。 50ページを超えるあたりから、他の方法では管理しきれなくなります。
プラグインを使う場合の注意
手軽ですが、依存先が1つ増えることを理解したうえで選んでください。
- 提供が止まるリスク:開発終了・有料化は実際に起きています
- 移行が難しい:独自のデータ構造で保存するため、他の方法へ移しにくい
- 本体更新への追従:WordPress の更新にプラグインが対応するまで待つことがある
- 費用が継続する:有料プラグインは年額が発生します
短期間で公開したい、予算が限られている、といった事情があれば選択肢に入りますが、 10年運用する前提のコーポレートサイトには向きません。
選び方のまとめ
| 状況 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 〜10ページ・更新が年数回 | 別インストール | 単純で壊れない。手間も実際には発生しない |
| 10〜50ページ・言語で内容が違う | マルチサイト | 更新を1回で済ませつつ、作り分けができる |
| 50ページ以上・1対1の対訳 | カスタムフィールド | 翻訳漏れを構造的に防げる |
| 短期・低予算 | プラグイン | 手軽。ただし依存リスクを許容できる場合のみ |
判断の軸は「ページ数」と「更新頻度」の2つです。 多言語化というと難しく考えがちですが、 小規模で更新が少ないなら、素直に別々に作るのが最も確実で安く済みます。
どの方法でも決めておくこと
- 誰が翻訳するか:社内か、翻訳会社か。機械翻訳を下訳に使うか
- 更新時の運用:日本語を更新したとき、外国語版をいつ直すか
- 問い合わせ対応:外国語で問い合わせが来たとき、誰が返すか
- URL構成:サブディレクトリか、サブドメインか、別ドメインか
意外に見落とされるのが3つ目です。 英語サイトを作れば英語で問い合わせが来ます。 返信できる体制がないまま公開すると、対応できない問い合わせが溜まることになります。
よくある質問
多言語化プラグインを入れれば済みませんか?
以前は定番のプラグインがありましたが、開発終了や有料化で選択肢が減っています。プラグインに依存すると、提供が止まったときにサイト全体が動かなくなります。長く運用する前提なら、依存しない方法を検討してください。
小規模なサイトはどうすればいいですか?
5〜10ページ程度で更新も少ないなら、言語ごとに WordPress を別々にインストールして独立したサイトとして運用するのが最も確実です。仕組みが単純で、片方が壊れてももう片方に影響しません。
自動翻訳で対応できませんか?
機械翻訳をそのまま出すのは避けてください。BtoBでは訳の不自然さが信用に直結します。下訳として使い、人が確認する運用にしてください。
URLはどう分ければいいですか?
サブディレクトリ(example.com/en/)が扱いやすく、ドメインの評価も分散しません。サブドメインや別ドメインでも可能ですが、それぞれSEO上は別サイトとして扱われます。
掲載している金額は、一般的な発注で見かける水準をもとにした目安です。 実際の費用は要件・地域・体制によって変わります。必ず複数社から見積もりを取り、 「何が含まれていて、何が含まれていないか」を比べたうえでご判断ください。