ホームページの表示速度|WordPressが遅くなる理由と現実的な目標
90点を目指すべきとは限りません。何を犠牲にして速くするのか、判断の基準を整理します。
「表示速度が遅い」は、ホームページの相談で最も多い項目のひとつです。 ただし速くすること自体を目的にすると、必要な機能を削ることになります。
ここでは遅くなる仕組みを分解し、どこまで対応すべきかの現実的な基準を示します。
WordPress が遅くなる仕組み
WordPress は、アクセスがあるたびに PHP が動き、データベースから内容を取り出して HTML を組み立てます。この工程が、静的なHTMLを置いてあるだけのサイトとの差になります。
| 静的サイト | WordPress | |
|---|---|---|
| 表示までの流れ | HTMLを返すだけ | PHP実行 → DB問い合わせ → HTML生成 → 返す |
| サーバー応答の目安 | 0.1〜0.3秒 | 0.5〜2秒 |
| 自社での更新 | できない(要編集) | できる |
| 機能追加 | 都度開発 | プラグインで対応 |
これは欠陥ではなく、トレードオフです。 自分で更新できることと引き換えに、表示速度を差し出しています。 更新しないサイトなら静的のほうが速く、更新するなら WordPress のほうが実用的です。
WordPress で遅くなる主な原因
| 原因 | 影響 | 対策 |
|---|---|---|
| プラグインの入れすぎ | 大きい | 使っていないものを削除する |
| 多機能テーマ | 大きい | 使わない機能が読み込まれる。軽量テーマに変える |
| 共用サーバーの性能 | 中〜大 | 月1,000円台のプランから上げる |
| 画像が最適化されていない | 中 | リサイズとWebP化 |
| キャッシュ未導入 | 大きい | キャッシュプラグインで生成済みHTMLを返す |
最も効くのはキャッシュです。 一度生成したHTMLを保存して次回以降はそれを返す仕組みで、 WordPress の弱点であるPHP実行をほぼ回避できます。 これだけで応答時間が数分の1になることも珍しくありません。
WebP のメリットとデメリット
| 内容 | |
|---|---|
| メリット | JPEG比で 25〜35%、PNG比で 30〜50% 軽くなる。透過にも対応 |
| デメリット | 変換の手間がかかる。古い環境で表示できない。編集時に扱いにくい |
| 向いている | 写真が多いサイト、画像が主体のページ |
| 効果が薄い | 画像が少ないサイト、遅さの原因が別にある場合 |
現在の主要ブラウザはすべて WebP に対応しているため、表示できない問題はほぼ起きません。 実務上の面倒は、更新のたびに変換が必要になることです。
お客様が管理画面から写真を差し替える運用なら、 自動でWebPに変換する仕組みを入れておかないと、時間とともに元の重さに戻ります。 WebP化は「一度やって終わり」ではなく、運用の設計とセットです。
なお、画像以外が遅さの原因なら、WebPにしても体感は変わりません。 先に何が重いのかを確認してから手をつけてください。
YouTube 埋め込みの影響
動画を載せると伝わりやすくなりますが、表示速度には確実に響きます。
| 方式 | 読み込み | スコアへの影響 | 見た目 |
|---|---|---|---|
| 通常の埋め込み | 500KB〜1MB以上 | 10〜30点下がる | すぐ再生できる |
| クリックで読み込む方式 | サムネイル画像のみ(数十KB) | ほぼ影響なし | 1クリック挟む |
| サムネイル+別ページ | 画像のみ | 影響なし | ページ遷移が必要 |
実務では2番目をおすすめします。 サムネイル画像だけを最初に表示し、クリックされたときに初めて YouTube を読み込む方式です。 利用者の手間はクリック1回増えるだけで、速度への影響はほぼ消えます。
複数の動画を1ページに並べる場合は、この方式でないと現実的な速度になりません。
PageSpeed Insights で90点以上は現実的か
結論として、通常の企業サイトで90点以上を狙うのは現実的ではありません。
| 載せているもの | スコアへの影響 |
|---|---|
| YouTube 埋め込み | −10〜30点 |
| Webフォント(Google Fonts等) | −5〜15点 |
| チャットツール | −10〜20点 |
| アクセス解析・広告タグ | −5〜15点 |
| スライダー・アニメーション | −5〜15点 |
つまり90点以上を取るには、これらをすべて外す必要があります。 動画もチャットも独自フォントも使わないサイトであれば到達できますが、 それが自社にとって良いサイトかは別の話です。
スコアは目的ではなく、目安として使ってください。 モバイルで50〜70点あれば、利用者が離脱するほど遅いということはありません。 それより、実際にスマホで開いて「待たされる感じがあるか」を確認するほうが実態に合います。
優先順位
- 1. サーバー応答を速くする:キャッシュ導入、サーバーのプラン見直し
- 2. 画像を軽くする:表示サイズに合わせてリサイズ、WebP化
- 3. 埋め込みを遅延させる:YouTube・地図はクリック後に読み込む
- 4. 使っていないものを外す:不要なプラグイン、使っていないフォント
この順番が費用対効果の高い順です。 スコアを1点ずつ上げる作業に工数をかけるより、 1と2を済ませた時点で「十分速い」状態にはなります。
制作会社に相談するときも、「90点にしてほしい」ではなく 「スマホで待たされない状態にしてほしい。ただし動画とチャットは残したい」 と伝えたほうが、現実的な提案が返ってきます。
よくある質問
PageSpeed Insights で何点あればいいですか?
モバイルで 50〜70点あれば、通常の企業サイトとしては問題ありません。90点以上は、YouTube埋め込み・外部フォント・チャットツール・広告タグなどをすべて外して初めて届く水準です。目的に照らして必要かを判断してください。
WordPress はなぜ遅いのですか?
アクセスのたびにPHPが動いてページを組み立てるためです。完成したHTMLを置いてあるだけの静的サイトと比べると、その処理時間だけ遅くなります。プラグインを入れるほど処理が増え、さらに遅くなります。
WebPにすれば速くなりますか?
画像は 25〜35%ほど軽くなります。ただし画像以外が原因で遅い場合、体感はほとんど変わりません。まず何が遅さの原因かを確認してから対応するほうが確実です。
YouTube を埋め込むと遅くなりますか?
遅くなります。1本の埋め込みで 500KB〜1MB 以上の読み込みが発生し、スコアは 10〜30点下がることがあります。クリックされるまで読み込まない方式にすれば、影響を大きく抑えられます。
掲載している金額は、一般的な発注で見かける水準をもとにした目安です。 実際の費用は要件・地域・体制によって変わります。必ず複数社から見積もりを取り、 「何が含まれていて、何が含まれていないか」を比べたうえでご判断ください。