ECカート(ASP)の比較|Shopify・MakeShop・futureshop・BASE
月額だけを見ると判断を誤ります。決済手数料まで含めた年間の総額で比べてください。
ネットショップを作るとき、最初に決めるのがカート(ECプラットフォーム)です。 ここを間違えると、あとから「やりたいことができない」「手数料が思ったより重い」となり、 作り直しに 100万円単位のお金がかかります。
この記事では、制作会社に依頼する前に発注側が押さえておきたい カートASP の違いと、実際に払う総額の考え方を整理します。 料金体系は各社とも改定があるため、金額は 2026年8月時点の目安として読んでください。
主なカートASPの位置づけ
| サービス | 月額の目安 | 決済手数料の目安 | 向いている規模・用途 |
|---|---|---|---|
| BASE / STORES | 0円〜3,000円 | 3〜6.6% | まず売ってみる段階。商品数が少なく、月商 100万円未満 |
| カラーミーショップ | 3,000円〜1万円 | 3.0〜4% | 小〜中規模。国内の決済・配送に一通り対応したい |
| Shopify | 4,000円〜4万円 | 3.25〜3.55% | デザインの自由度が高い。越境ECやアプリ拡張を使いたい |
| MakeShop | 1.1万円〜5万円 | 3.14〜3.5% | 中規模。国内向けの販促機能(クーポン・会員ランク)が標準で必要 |
| futureshop | 2.2万円〜7万円 | 3.2〜3.5% | 中〜大規模。ブランドサイトと一体で見せたい、実店舗と連携したい |
| ecforce / ebisumart など | 5万円〜数十万円 | 個別 | 定期通販・単品リピート通販、または大規模で個別要件が多い |
※ 税別・2026年8月時点の一般的なプラン帯です。プランや決済手段によって変わるため、 最終的な金額は各サービスの公式料金表で確認してください。
月額ではなく「年間の総額」で比べる
カート選びで最も多い失敗が、月額だけを見て決めることです。 ECの費用は 月額 + 決済手数料(売上に比例) で決まります。 売上が伸びるほど、後者が支配的になります。
| 月商 | 月額0円・手数料6% | 月額1万円・手数料3.5% | 差額(年間) |
|---|---|---|---|
| 30万円 | 年 21.6万円 | 年 24.6万円 | △3.0万円 |
| 100万円 | 年 72.0万円 | 年 54.0万円 | 18.0万円 |
| 300万円 | 年 216.0万円 | 年 138.0万円 | 78.0万円 |
| 1,000万円 | 年 720.0万円 | 年 462.0万円 | 258.0万円 |
月商 50万円あたりが分岐点です。それを超えるなら、 月額を払ってでも手数料の低いサービスを選んだほうが総額は下がります。 逆にまだ売上が読めない段階で月額の高いカートを契約すると、固定費だけが残ります。
「どのカートにするか」を制作会社に丸投げすると、その会社が使い慣れたカートに寄ります。 悪いことではありませんが、自社の要件(定期購入の有無・会員制度・実店舗連携)を 先に文章にしておくと、提案の妥当性を判断できます。
機能で見た向き・不向き
| やりたいこと | 相性のよい選択 | 注意点 |
|---|---|---|
| 定期購入・頒布会 | ecforce などの定期通販向けカート、または MakeShop の定期機能 | 汎用カートにアプリで足すと、解約・スキップの運用が煩雑になりがち |
| 越境EC(海外販売) | Shopify | 多通貨・多言語は得意。関税と配送の実務は別途詰める必要がある |
| 実店舗との在庫・会員連携 | futureshop、Shopify(POS 連携) | 連携は「できる/できない」より、同期の頻度と粒度を確認する |
| BtoB(掛売り・取引先別価格) | BtoB 対応の専用カート、またはパッケージ(EC-CUBE 等) | 汎用ASPでは価格の出し分けに無理が出やすい |
| デザインを細部まで作り込む | Shopify、futureshop | テンプレートの構造上、変えられない箇所がある。要件は事前に確認 |
| とにかく早く始めたい | BASE / STORES | 売上が伸びたときの手数料と、移行コストを織り込んでおく |
制作会社に頼む場合の費用
カートASP を使う場合でも、制作費はかかります。内訳は次のとおりです。
| 項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| 既製テーマの調整(ロゴ・色・バナー差し替え) | 15万〜50万円 |
| オリジナルデザイン(トップ+主要ページ) | 40万〜150万円 |
| 商品登録(1点あたり 300〜1,500円) | 点数×単価 |
| 決済・配送・税設定 | 5万〜20万円 |
| アプリ・拡張機能の選定と設定 | 5万〜30万円 |
| 他カートからのデータ移行 | 20万〜100万円 |
| 公開後の運用サポート(月額) | 3万〜15万円 |
詳しい内訳は ECサイト構築の費用相場 にまとめています。 カートを問わず共通してかかる費用も併せて確認してください。
Shopify をはじめ、拡張アプリで機能を足せるカートは多くあります。ただしアプリは それぞれ月額がかかり、10個入れれば月数万円になります。さらにアプリ同士が干渉して 表示が崩れることもあります。提案にアプリが並んでいたら、 月額の合計と、そのアプリが止まったときの代替を確認してください。
年商別・現実的な選び方
| 年商 | 現実的な構成 |
|---|---|
| 〜1,000万円 | BASE / STORES / カラーミーショップ。テンプレート中心、制作費は 30万円以内に抑える |
| 1,000万〜1億円 | Shopify / MakeShop / カラーミー。オリジナルデザイン込みで 80万〜200万円 |
| 1億〜10億円 | futureshop / Shopify(上位プラン)。基幹連携と運用体制を含めて設計する |
| 10億円〜 | 大規模ASP、またはパッケージ・スクラッチ。カート単体ではなく物流・CRM と一体で検討 |
よくある質問
ECカートのASPは、結局どれを選べばよいですか?
年商 3,000万円くらいまでで、標準的な通販(都度購入)なら Shopify かカラーミーショップ、まず小さく始めるなら BASE / STORES が現実的です。定期購入やギフト、複雑な送料設定が必要なら MakeShop や futureshop のような国内カートのほうが標準機能で足ります。判断の順番は「必要な機能 → 年間の総額」です。
月額が安いカートを選べば安く済みますか?
いいえ。決済手数料が売上に比例するため、売上が伸びるほど手数料の差が効いてきます。月商 300万円なら、手数料が 1% 違うだけで年 36万円の差です。月額 0円のサービスより、月額 1万円で手数料が低いサービスのほうが安くなる分岐点があります。
カートASPでも制作会社に頼む必要がありますか?
テンプレートのまま使うなら自社でも公開できます。制作会社に頼むのは「ブランドに合わせたデザイン」「商品登録の一括作業」「他システムとの連携設定」が必要なときです。デザイン込みで 30万〜150万円が目安になります。
途中で別のカートに乗り換えられますか?
商品データと会員データは移せますが、購入履歴・ポイント残高・定期購入の契約情報は移行が難しいことがあります。URL が変わると検索順位も一度落ちます。乗り換えの実務費用は 50万〜200万円が目安なので、最初の選定で「3年後の売上規模」まで想定しておくほうが結果的に安く済みます。
まとめ
- 比べるのは月額ではなく 月額+決済手数料の年間総額。月商 50万円が分岐点。
- 定期購入・BtoB・実店舗連携がある場合は、汎用ASPで無理をせず専用のものを検討する。
- 拡張アプリは便利だが、月額の積み上がりと依存のリスクを見ておく。
- 乗り換えには 50万〜200万円かかる。3年後の売上規模を想定して選ぶ。
掲載している金額は、一般的な発注で見かける水準をもとにした目安です。 実際の費用は要件・地域・体制によって変わります。必ず複数社から見積もりを取り、 「何が含まれていて、何が含まれていないか」を比べたうえでご判断ください。