ホームページのバックアップと復旧|「戻せません」を防ぐ
復旧テストをしていないバックアップは、無いのと同じです。
バックアップは、取っているかどうかより 実際に戻せるかどうかが問題になります。
「毎日バックアップしています」と言われていたのに、 いざ復旧しようとしたら中身が空だった、という事故は珍しくありません。 ここでは何を、どこに、どれくらいの頻度で取るべきかと、 戻せることをどう確認するかをまとめます。
何をバックアップする必要があるか
WordPress のようなCMSサイトは、2種類のデータで構成されています。 どちらか片方だけでは復旧できません。
| 種類 | 中身 | 欠けるとどうなるか |
|---|---|---|
| ファイル | テーマ・プラグイン・アップロードした画像やPDF | デザインと画像が消える |
| データベース | 記事本文・固定ページ・設定・ユーザー情報 | 文章と設定が全部消える |
「データベースだけ取っていた」は非常に多い失敗です。 記事は戻っても画像が全部リンク切れになります。 逆にファイルだけでは、記事本文が1本も戻りません。
どこに保存するか
同じサーバーの中だけに置いたバックアップは、 サーバー障害のときに一緒に消えます。
| 保存場所 | 守れるもの | 守れないもの |
|---|---|---|
| 同じサーバー内 | 誤操作・更新失敗 | サーバー障害・アカウント停止 |
| 外部ストレージ(クラウド等) | サーバー障害を含む大半 | アカウント乗っ取り |
| 手元のPCにも1本 | ほぼすべて | PCの故障(他と併用が前提) |
現実的には「サーバー内に日次+外部に週次」で十分です。 外部ストレージへの保存は、プラグインやサーバーの機能で自動化できます。 手作業でのダウンロードは、必ず途中で止まります。
保存期間は「気づくまでの時間」で決める
改ざんや不具合は、すぐには気づきません。 トップページが真っ白になれば当日わかりますが、 問い合わせフォームが壊れている、下層ページだけ改ざんされている、といった場合は 数週間気づかないことがあります。
保存期間が7日しかないと、その時点で 正常な状態のバックアップが1本も残っていません。 最低でも30日、可能なら「日次で30日分+月次で12か月分」を目安にしてください。
年に1回は実際に戻してみる
復旧テストをしていないバックアップは、無いのと同じです。 取得は自動化されていても、戻す手順は誰も試していない、というのが典型的な状態です。
- テスト用の環境を用意して、バックアップから復元する
- トップページ・下層ページ・問い合わせフォームが動くか確認する
- 画像が表示されるか(ファイルとデータベースの両方が揃っているか)確認する
- 復旧にかかった時間を記録する
かかった時間の記録は重要です。 「半日で戻る」か「3日かかる」かで、事故が起きたときの判断が変わります。 復旧に3日かかると分かっていれば、そもそも壊さない運用に投資する判断ができます。
更新前のバックアップを習慣にする
実務で一番使うのは、災害復旧ではなく更新失敗からの巻き戻しです。
- WordPress本体・プラグインの更新前(更新後に画面が真っ白になることがある)
- テーマやコードを触る前
- 大きなコンテンツ追加の前
自動バックアップがあっても、直前に手動で1本取っておくと復旧が早くなります。 直前の状態がわかっていれば、原因の切り分けも簡単です。
発注時に確認しておくこと
| 確認項目 | なぜ必要か |
|---|---|
| ファイルとデータベースの両方を取っているか | 片方だけでは戻せない |
| 保存先はサーバー内か外部か | サーバー障害時に一緒に消えないか |
| 保存期間は何日か | 気づくまでの時間より短いと意味がない |
| 復旧作業は保守費に含まれるか | 別料金のことが多い |
| 復旧にかかる時間の目安 | 事故時の判断材料になる |
| 復旧テストをしているか | していなければ戻せる保証がない |
「バックアップは取っています」だけで安心しないでください。 上の6つを聞いて具体的に答えられる会社なら、実際に運用しています。 答えが曖昧な場合は、取得しているだけで戻したことがない可能性が高いです。
よくある質問
レンタルサーバーの自動バックアップがあれば十分ですか?
不十分な場合があります。共用サーバーの自動バックアップは保存期間が7〜14日程度のことが多く、改ざんに数週間気づかなければ正常な状態が残っていません。また復旧作業が有償のサーバーもあります。契約内容を確認してください。
バックアップはどのくらいの頻度で取るべきですか?
更新頻度で決めます。お知らせを月1回更新する程度なら日次で十分です。ECサイトのように毎日注文データが増えるなら、データベースは1日複数回、ファイルは日次が目安になります。基準は「最悪どこまで戻ってよいか」です。
バックアップがあれば必ず復旧できますか?
できないことがあります。バックアップが壊れている、データベースだけでファイルが無い、PHPのバージョンが変わって動かない、といった理由で戻せない例は実際にあります。年に1回は実際に復旧できるか試してください。
保守契約にバックアップは含まれますか?
契約によります。「バックアップ取得」は含まれても「復旧作業」は別料金というケースが多くあります。取得と復旧の両方が含まれるか、復旧にかかる時間の目安はどれくらいか、契約前に確認してください。
掲載している金額は、一般的な発注で見かける水準をもとにした目安です。 実際の費用は要件・地域・体制によって変わります。必ず複数社から見積もりを取り、 「何が含まれていて、何が含まれていないか」を比べたうえでご判断ください。