AIでコーディングはできるのか|BtoBサイトで人力が必要な理由
ゼロから作らせるのは得意ですが、決まった仕様どおりに作るのは苦手です。その差を説明します。
「AIでホームページは作れるのか」という質問をよく受けます。 結論から言えば、用途によります。そして BtoB のコーポレートサイトでは、現状まだ人力が必要です。
ここでは、AIが得意なことと苦手なことを分け、 なぜ BtoB サイトのコーディングで人の手が要るのかを整理します。
得意なことと苦手なこと
| 内容 | AIの適性 | |
|---|---|---|
| ゼロから作る | 「◯◯風のページを作って」と指示して形にする | 得意 |
| ありものを直す | 既存コードの修正、機能追加 | 得意 |
| 仕様どおりに再現する | 支給デザインを寸分たがわず組む | 苦手 |
| デザインデータとの連携 | Figma・Photoshopから正確に読み取る | 苦手 |
| 細かい調整 | 余白を2px詰める、文字を1段階小さく | 苦手 |
| 既存ルールへの追従 | 社内のコーディング規約に合わせる | 苦手 |
この違いが本質です。 AIは「自由に作っていい」場面では速く、質の高いものを出します。 しかし「この通りに作れ」という制約が加わると、途端に精度が落ちます。
BtoBサイトで問題になる理由
BtoB のコーポレートサイトは、デザインの決まりごとが厳密なことが多いという特徴があります。
| 決まりごと | 内容 | AIで再現しにくい理由 |
|---|---|---|
| ロゴの使用規定 | 余白・最小サイズ・背景色の制限 | 指示しても守られないことがある |
| カラーパレット | 指定色以外を使わない | 近似色を勝手に使う |
| フォントと級数 | 見出し・本文のサイズ体系が決まっている | 見た目の整合を優先して変えてしまう |
| 余白のルール | 8pxの倍数など、体系が決まっている | 数値が揺れる |
| グループ共通の仕様 | 親会社・グループ全体で統一された規定 | 暗黙の前提を読み取れない |
企業のブランドガイドラインは、数十ページに及ぶこともあります。 「なんとなく似ている」では通りません。 広報部門の確認で差し戻され、結局は人が手で直すことになります。
デザインデータとの連携が弱い
実務では、デザイナーが Figma や Photoshop で作ったデータを受け取り、 それをコードに起こす流れが一般的です。ここでも問題が出ます。
- 数値を正確に読み取れない:余白・文字サイズ・行間の値がずれる
- レイヤー構造がそのまま出る:デザイン上の都合の入れ子が、意味のないHTMLになる
- レスポンシブの指示が読めない:スマホ時の挙動はデザインデータに書かれていないことが多く、推測になる
- 命名規則に従わない:チームで決めたクラス名の付け方を無視する
デザインからコードへの変換ツールも存在しますが、 出力されたコードをそのまま納品できる品質にはなりません。 結局、人が構造を組み直すことになります。
それでもAIが役立つ場面
否定的な話が続きましたが、使いどころはあります。
| 場面 | 使い方 |
|---|---|
| たたき台を作る | ラフな構成やレイアウト案を短時間で複数出す |
| 繰り返しの多い実装 | 似た構造のページを量産する |
| 既存コードの修正 | 「この部分をスマホで縦並びに」など、局所的な変更 |
| 調査・確認 | ブラウザ対応状況の確認、書き方の相談 |
| 簡易なLP | デザインの自由度が高く、厳密な規定がない場合 |
デザインの決まりが緩いほど、AIの利点が出ます。 自社の判断だけで進められる小規模サイトやLPなら、実用になる場面が増えています。
発注時に確認しておくとよいこと
- AIをどこで使っているか:使うこと自体は問題ではありません。どの工程かを聞いてください
- ブランドガイドラインの有無を伝える:ある場合は、着手前に必ず共有します
- デザインデータの形式:Figmaか、Photoshopか、支給なしか
- チェック体制:デザインとの差異を誰が確認するか
「AIで安く作ります」という提案には、何をAIに任せるのかを確認してください。 たたき台の作成に使うなら合理的です。 デザイン再現までAIに任せる前提なら、修正のやりとりで結局時間がかかる可能性があります。
まとめ
現時点では、「ゼロから作る」はAI、「決まった仕様どおりに作る」は人という 役割分担になります。
BtoB のコーポレートサイトは後者に該当することが多く、 ブランドガイドラインやグループ共通の規定がある場合はとくにそうです。 制作会社を選ぶ際も、AI活用の有無より、決まりごとを正確に守れる体制があるかを 見たほうが実態に合います。
よくある質問
AIにホームページのコーディングを任せられますか?
「こんな感じのページを作って」と指示して形にするのは得意です。一方で、支給されたデザインデータどおりに1pxの誤差なく組む作業は苦手で、現状は人の手が必要です。ゼロから作らせるのか、決まったものを再現させるのかで得意不得意が正反対になります。
AIを使えば制作費は安くなりますか?
簡易なサイトでは下がる余地があります。ただしデザインが厳密に決まっているBtoBサイトでは、AIの出力を人が直す工数が発生するため、大きくは変わりません。修正に時間がかかり、かえって高くつく場合もあります。
Figmaのデータから自動でコード化できませんか?
変換ツールはありますが、そのまま使える品質にはなりません。レイヤー構造がそのままHTMLの構造になるため、意味の通らないマークアップになり、レスポンシブ対応も別途やり直しになります。
将来的には人がいらなくなりますか?
単純なページの実装は減っていくと考えられます。ただし「決められた仕様を正確に再現する」「既存の運用ルールに合わせる」といった制約の多い作業ほど、確認と調整に人が必要な状態が続きます。
掲載している金額は、一般的な発注で見かける水準をもとにした目安です。 実際の費用は要件・地域・体制によって変わります。必ず複数社から見積もりを取り、 「何が含まれていて、何が含まれていないか」を比べたうえでご判断ください。