不動産会社サイトの費用相場と、広告表示のルール
費用を左右するのは、物件情報を手入力するか連携するかです。
不動産会社のホームページは、 物件情報の扱いと、広告表示の規制という 他業種にはない要素が加わります。
この2つを理解していない制作会社に頼むと、 運用が回らないサイトになるか、 表示規制に触れる状態になります。
費用の目安
| 内容 | 費用の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 会社案内中心(物件は数件) | 50万〜120万円 | 賃貸管理・買取など |
| 物件検索あり(手入力運用) | 120万〜300万円 | 数十件程度まで |
| 物件データの自動取り込み | 250万〜600万円 | 連携の初期構築を含む |
| データ連携のみ追加 | 30万〜150万円 | 既存サイトに追加する場合 |
| 会員機能・お気に入り | 50万〜200万円 | 個人情報の扱いが増える |
費用を最も左右するのは、物件情報をどう管理するかです。 手入力なら安く作れますが、 物件数が増えると更新が追いつかず、 古い情報が残り続ける状態になります。 これは信用の問題であると同時に、規制上の問題にもなります。
物件情報の管理方式
| 方式 | 初期費用 | 運用の手間 | 向いている規模 |
|---|---|---|---|
| 手入力(CMS) | 安い | 物件数に比例して増える | 〜数十件 |
| 基幹システムから取り込み | 高い | ほぼ自動 | 数百件以上 |
| ポータルへの誘導のみ | 最も安い | 不要 | 自社物件が少ない |
判断の基準は「月に何件、情報が変わるか」です。 物件の追加・成約・価格改定が月に数十件発生するなら、 手入力では必ず追いつかなくなります。 連携の初期費用は、担当者1人の作業時間と比べて判断してください。
広告表示の規制
不動産の広告には、 宅地建物取引業法と、不動産の表示に関する公正競争規約による 表示のルールがあります。ウェブサイトも対象です。
| 項目 | ルール |
|---|---|
| 徒歩の所要時間 | 道路距離80mにつき1分、端数切り上げ。信号待ちは含めない |
| 免許番号・取引態様 | 広告に明示する(売主・代理・媒介の別) |
| おとり広告 | 成約済み・実在しない・取引する意思のない物件の掲載は禁止 |
| 誇大な表現 | 「完全」「絶対」「日本一」などの断定的表現は避ける |
| 新築の定義 | 建築後1年未満かつ未使用のもの |
| 写真・図面 | 実際の物件のもの。イメージはその旨を明示 |
おとり広告は最も指摘を受けやすい項目です。 意図的でなくても、 成約済みの物件を消し忘れて掲載し続けている状態は 問題になり得ます。
これは制作の問題ではなく運用の問題です。 サイトを作る段階で、 「誰が、どのタイミングで掲載を取り下げるか」を決めておいてください。 基幹システムと連携していれば自動で反映されますが、 手入力の場合は運用ルールが必要です。
検索機能の設計
物件を探す人は、条件で絞り込むことを前提にサイトを見ます。 検索の使い勝手が、そのまま問い合わせ数に影響します。
- エリア・価格・間取りは最低限(この3つで絞れないと使われない)
- スマートフォンで操作しやすいか(選択肢が多いと押しづらい)
- 結果が0件のときに次の案内を出す(条件を緩める提案をする)
- 検索結果のURLが共有できるか(家族に送る動きがある)
- お気に入り機能(複数物件を比較する動きに対応する)
「0件のときの案内」は見落とされがちです。 条件に合う物件が無いときに白い画面が出るだけだと、そこで離脱します。 「条件を1つ緩めると◯件あります」と示すだけで、回遊が続きます。
物件以外に必要なページ
| ページ | 役割 |
|---|---|
| 会社概要・免許番号 | 信用の確認。必ず見られる |
| スタッフ紹介 | 誰が対応するか。反響に影響する |
| 取引の流れ | 初めての人の不安を解消する |
| 諸費用の説明 | 物件価格以外にかかる費用 |
| エリア情報 | 周辺環境・学区・生活利便 |
| お客様の声 | 実績の裏付け(掲載許諾が必要) |
スタッフ紹介は、不動産では特に効果があります。 高額かつ長期の取引になるため、 「誰が担当するか」が判断材料になります。 顔写真と経歴、得意なエリアが分かるだけで、問い合わせのしやすさが変わります。
制作会社を選ぶときの確認
- 不動産会社のサイト制作実績があるか
- 物件データの連携経験があるか(使っている基幹システムに対応できるか)
- 表示規制を理解しているか(免許番号・取引態様の表示、徒歩分数の計算)
- 成約物件の取り下げ運用をどう設計するか
- 物件数が増えたときの表示速度
2つめは具体的なシステム名で確認してください。 「連携できます」という回答でも、 実際に使っているシステムとの接続実績が無ければ、 調査と開発に想定外の費用と期間がかかります。
※ 本記事は表示規制の概要をまとめたものです。 個別の表現や表示方法の適否については、 所管の窓口または不動産公正取引協議会の資料をご確認ください。
よくある質問
物件情報は手入力しなければいけませんか?
流通機構や不動産業向けの基幹システムからデータを取り込む方法があります。取り込みの仕組みを作る初期費用(30万〜150万円程度)はかかりますが、物件数が多い場合は手入力の工数を大きく削減できます。扱う物件が数十件までなら、手入力でも運用できます。
ポータルサイトに出していれば自社サイトは不要ですか?
役割が違います。ポータルは物件を探している人に見てもらう場所、自社サイトは<strong>会社を信用してもらう場所</strong>です。ポータルで物件を見つけた人が「この会社は大丈夫か」と社名で検索する動きは実際にあります。
「駅から徒歩◯分」はどう書けばいいですか?
道路距離80mにつき1分として計算し、端数は切り上げます(公正競争規約による)。信号待ちや踏切の時間は含めません。実際より短く表示すると不当表示になり得るため、経路の測り方も含めて確認してください。
成約済みの物件はすぐ消すべきですか?
成約済みの物件を掲載し続けて集客に使うと、おとり広告として問題になります。成約後は速やかに掲載を取り下げるか、「成約済み」と明示して実績として扱ってください。運用でここを守れる体制が必要です。
掲載している金額は、一般的な発注で見かける水準をもとにした目安です。 実際の費用は要件・地域・体制によって変わります。必ず複数社から見積もりを取り、 「何が含まれていて、何が含まれていないか」を比べたうえでご判断ください。