医療・クリニックサイトの費用相場と、医療広告の規制
デザインより先に、医療広告ガイドラインの確認が必要な領域です。
医療機関のホームページは、 デザインより先に法令の確認が必要な数少ない領域です。
2018年6月の改正医療法施行により、 ウェブサイトも医療広告として規制の対象になりました。 規制を知らない制作会社に頼むと、公開後に修正することになります。
費用の目安
| 規模 | ページ数 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 小規模クリニック | 6〜10ページ | 50万〜120万円 |
| 標準(診療科別ページあり) | 12〜25ページ | 120万〜300万円 |
| 大規模(病院・複数診療科・採用含む) | 30ページ以上 | 300万〜800万円 |
| 予約システム連携 | — | 20万〜100万円(別途) |
一般的な企業サイトと比べて、次の要素が費用に乗ります。
- 医療広告ガイドラインに沿った原稿チェック
- 診療科・症状ごとのページ制作(数が多くなりやすい)
- 予約システムとの連携
- アクセス・診療時間の見やすい表示(最も見られる情報)
掲載できない表現
| 種類 | 例 |
|---|---|
| 虚偽広告 | 「絶対安全な手術です」「必ず治ります」 |
| 比較優良広告 | 「県内No.1の実績」「日本有数の医師」 |
| 誇大広告 | 効果を過度に強調する表現、根拠のない数字 |
| 体験談 | 治療内容や効果に関する患者の感想 |
| ビフォーアフター写真 | 術前術後の写真(詳細な併記が無い場合) |
| 費用の過度な強調 | 「今なら〇〇円」「期間限定キャンペーン」 |
体験談とビフォーアフターは、集客上は最も効きそうな要素です。 だからこそ規制されている、と考えてください。 美容医療の分野で誇大な表現によるトラブルが相次いだことが、規制強化の背景にあります。
なお、「治療内容とは関係のない、待ち時間や接遇についての感想」は 体験談にあたらないと整理されています。 ただし判断が微妙な領域なので、掲載する場合は所轄の保健所や 医療広告に詳しい制作会社に確認してください。
自由診療は「限定解除」が必要
自由診療の内容を掲載するには、 広告可能事項の限定解除の要件を満たす必要があります。
- 患者が自ら求めて入手する情報であること(ウェブサイトは該当)
- 問い合わせ先を明記していること(電話番号やメールアドレス)
- 自由診療の場合、通常必要とされる標準的な費用を明示していること
- 自由診療の場合、治療のリスクと副作用を明示していること
3と4は同じページ内に、分かる形で書く必要があります。 別ページへのリンクだけで済ませたり、 極端に小さい文字で目立たなくしたりすると、要件を満たさないと判断されます。
患者が実際に見ている情報
規制の話とは別に、 クリニックサイトで最も見られる情報は決まっています。 デザインに予算を使う前に、この4つが分かりやすいかを確認してください。
| 情報 | なぜ見られるか |
|---|---|
| 診療時間・休診日 | 今日行けるかを確認している |
| アクセス・駐車場 | 行き方と停められるか |
| 初診の流れ・持ち物 | 初めて行く不安の解消 |
| 医師の経歴・顔写真 | 誰に診てもらうかの判断 |
この4つはスマートフォンのファーストビュー近くに置いてください。 クリニックサイトへのアクセスはスマートフォンが大半で、 多くは「今から行けるか」を調べています。 診療時間を探して何度もスクロールさせる作りは、それだけで機会を失います。
予約システムの選択
| 方式 | 費用 | 向いている場合 |
|---|---|---|
| 電話のみ | 0円 | 予約が少ない/対面で調整したい |
| フォーム予約(申し込みを受けて折り返す) | 制作費に含む | 件数が少ない |
| 外部の予約サービス | 月額 5,000〜30,000円 | 枠管理と自動確定が必要 |
| 電子カルテ連携の予約 | 個別見積もり | 既存システムと連動させたい |
フォーム予約は「予約が確定していない」ことを明記してください。 送信した時点で予約できたと誤解され、来院してしまうトラブルが起こります。 「折り返しのご連絡をもって予約確定となります」と画面と自動返信の両方に書くべきです。
制作会社を選ぶときの確認事項
- 医療機関の制作実績があるか(規制を知らないと原稿チェックができない)
- 医療広告ガイドラインの確認が制作工程に含まれるか
- 自由診療のページを扱った経験があるか(限定解除の要件を理解しているか)
- 公開後に規制が変わった場合の対応
1つめの実績確認は、必ず具体的なサイトを見せてもらってください。 実績があると言いながら、体験談を載せているサイトを作っていることがあります。 その場合、規制を理解していないまま制作している可能性が高いと判断できます。
※ 本記事は医療広告ガイドラインの概要をまとめたものです。 個別の表現が適法かどうかの判断は、所轄の保健所または専門家にご確認ください。
よくある質問
ホームページも医療広告の規制対象ですか?
対象です。2018年6月施行の改正医療法により、医療機関のウェブサイトも広告として規制されるようになりました。それ以前は「患者が自ら閲覧するもの」として規制の外にありましたが、現在は医療広告ガイドラインに沿う必要があります。
「安全」「絶対」といった表現は使えませんか?
使えません。「絶対安全な手術です」のような<strong>虚偽・誇大にあたる表現</strong>は禁止されています。「日本一」「No.1」といった優良誤認を招く比較優良広告も同様です。客観的な事実であっても、他院との優劣を示す表現は避けるべきです。
患者さんの体験談は載せられますか?
載せられません。治療内容や効果に関する体験談は、個人の主観によるものとして医療広告ガイドラインで禁止されています。ビフォーアフター写真も、原則として禁止です(治療内容・費用・リスク・副作用等を詳細に併記した場合を除く)。
自由診療のページで気をつけることは?
限定解除の要件を満たす必要があります。具体的には、問い合わせ先の明示に加えて、<strong>治療内容・標準的な費用・主なリスクと副作用</strong>を併記しなければなりません。これが無いと、そもそも自由診療の内容を掲載できません。
掲載している金額は、一般的な発注で見かける水準をもとにした目安です。 実際の費用は要件・地域・体制によって変わります。必ず複数社から見積もりを取り、 「何が含まれていて、何が含まれていないか」を比べたうえでご判断ください。