品質の取り決め|検査・不良対応をどう決めるか
「良品とは何か」を先に文字にしておかないと、後で必ず揉めます。
製造の外注で最も揉めるのは、価格でも納期でもなく品質です。 原因はほぼ1つで、「良品とは何か」を先に文字にしていないことです。
先に決めておく4つ
| 項目 | 決めること | 決めていないと |
|---|---|---|
| 検査する寸法 | どの寸法を、いくつ測るか | 測っていない箇所がずれていても気づけない |
| 検査の頻度 | 全数か、抜き取り(何個に1個か)か | 費用が想定外に膨らむ、または検査されない |
| 外観の基準 | キズ・打痕・色ムラ・バリの許容範囲 | 担当者によって合否が変わる |
| 不良時の扱い | 作り直し/値引き/特別採用のどれか。費用と納期の負担 | 納期が迫った状況で交渉することになる |
「小さなキズは可、指で触って引っかかるものは不可」と文章で書いても、 人によって解釈が違います。 実物か写真で 合格の限界 を示しておくと、判断が一致します。 量産に入る前、初品を確認する段階で作っておくのが最も効率的です。
検査のレベルと費用感
| レベル | 内容 | 費用の目安 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 検査なし | 加工者の自主確認のみ | 加算なし | 非重要部品、試作 |
| 抜き取り+簡易記録 | 数個を測り、値を記録 | 数千円/ロット | 一般的な量産部品 |
| 検査成績書つき | 指定寸法を測定し、書類を発行 | 5千〜3万円/ロット | 装置の主要部品 |
| 全数検査 | 全個体を測定 | 数百〜数千円/個 | 安全に関わる部品 |
| 三次元測定+報告書 | 形状全体を測り、図面と照合 | 2万〜10万円/回 | 初品検査、精密部品 |
検査成績書の見方
- 測定値が公差の真ん中にあるか:上限や下限ぎりぎりだと、次のロットで外れる可能性が高い
- 測定器の種類:ノギスとマイクロメータでは精度が違う。±0.01 をノギスで測っても意味がない
- 測定した個体数:1個だけの結果で全体を判断できるか
- いつ測ったか:加工直後か、出荷前か。温度で寸法が動く材料もある
公差から外れているが使えなくはない、という場合に 「今回だけそのまま受け取る」ことを特別採用(特採)と言います。 納期が迫っていると受けたくなりますが、 一度認めるとそれが基準になります。 受ける場合は「今回限り」「次回から公差内」と書面で残してください。
継続取引で見るべき指標
- 不良率の推移:ロットごとに記録すると、悪化の兆しが見える
- 納期遵守率:遅れが増えてきたら、相手の受注が詰まっている可能性がある
- 連絡の早さ:問題が起きたときにすぐ言ってくるかどうかが最も重要
黙って納期を過ぎる会社より、 早い段階で「間に合いません」と言ってくる会社のほうが、結果的に損失は小さくなります。
よくある質問
検査成績書は必ずもらうべきですか?
重要な部品なら必要です。ただし全数・全寸法の測定を求めると、検査費が加工費を上回ることがあります。<strong>機能に効く3〜5寸法だけ</strong>を指定し、抜き取りにするのが現実的です。
不良品が届いたらどうすればよいですか?
まず現物と測定値を示して連絡します。対応は「作り直し」「値引き」「特別採用(そのまま使う)」のいずれかになりますが、どう扱うかを<strong>発注前に決めておく</strong>と揉めません。納期が迫っている場合ほど、決めていないことが響きます。
「良品」の基準はどう決めればよいですか?
寸法は図面で決まりますが、外観(キズ・打痕・色ムラ・バリ)は文章では伝わりません。限度見本(これ以上はNGという現物や写真)を用意するのが最も確実です。見本がないと、判断が担当者ごとに変わります。
毎回品質がばらつくのですが。
作業者や工具の摩耗で条件が変わっている可能性があります。「どのロットがいつ作られたか」を記録してもらい、ばらつく時期に共通点がないか確認してください。継続する取引なら、工程内でどう管理しているかを聞くのが早道です。
まとめ
- 揉めごとの原因は「良品の定義」を文字にしていないこと。
- 検査する寸法・頻度・外観基準・不良時の扱いを、発注前に決める。
- 外観は限度見本で示す。文章では一致しない。
- 特別採用を認めるときは「今回限り」と書面で残す。
掲載している金額は、一般的な発注で見かける水準をもとにした目安です。 実際の費用は要件・地域・体制によって変わります。必ず複数社から見積もりを取り、 「何が含まれていて、何が含まれていないか」を比べたうえでご判断ください。