見積もり依頼(RFQ)の出し方|図面と一緒に渡す情報
図面だけ送ると、各社が別々の前提で見積もるため比較できません。
同じ図面を3社に送ったのに、返ってきた見積もりが 8千円・3万円・12万円ということがあります。 会社の実力差だけが理由ではありません。 各社が違う前提で計算していることが多いのです。
図面と一緒に必ず伝える6つ
| 項目 | 書き方の例 | 抜けると起きること |
|---|---|---|
| 数量 | 試作3個、量産は年間2,000個の見込み | 単価の前提が各社バラバラになる |
| 納期 | 3週間以内。急ぎではない | 特急扱いで割増されることがある |
| 材質 | A5052、または同等の加工しやすいアルミ | 高い材料で見積もられる |
| 公差 | 一般公差。ただし穴径φ10は H7 | 全体を厳しく見積もられ数割高くなる |
| 表面処理 | アルマイト(白)/指定なし・生地のまま | 後から追加費用になる |
| 検査 | 検査成績書は不要/主要3寸法のみ提出 | 全数検査で見積もられることがある |
「添付の図面(STEP と PDF)の部品について、お見積もりをお願いします。
・数量:試作3個/量産時は年 2,000個を想定
・材質:A5052
・公差:図面指示のとおり。指示のない箇所は一般公差
・表面処理:なし(生地)
・納期:3週間程度
・検査:検査成績書は不要
・用途:装置内部の固定ブラケット
加工しやすい形状への変更提案があればあわせてお願いします。」
用途を書くと、代替案を出してもらいやすくなります。
渡すデータの形式
| 形式 | 用途 | 備考 |
|---|---|---|
| STEP(.stp / .step) | 3D形状。加工プログラムの元になる | 最も確実。どのCADでも開ける |
| 2D図面。公差・材質・処理を伝える | 誰でも開けるので必ず添える | |
| DXF | 板金の展開図、レーザー切断用 | 板金加工では実質必須 |
| IGES | 3D形状(旧式) | STEP が使えない場合の代替 |
| ネイティブ形式(SolidWorks 等) | 同じCADを使う会社向け | 相手が持っていないと開けない |
公差の書き方でコストが変わる
すべての寸法に厳しい公差を付けると、工程も検査も増えます。 機能に効く箇所だけを指定してください。
- はめあい部分:軸や軸受が入る穴だけ H7 などを指定する
- 取り付け穴:一般公差で十分。むしろ少し大きめにすると組み立てやすい
- 外形寸法:ほとんどの場合、一般公差で問題ない
- 面粗さ:合わせ面や摺動面だけ指定する。全面指定は避ける
・「なるべく早く」と書く → 特急料金が乗る。具体的な日付を書く
・材質を「鉄」とだけ書く → SS400 か S45C かで加工性も価格も違う
・表面処理を書き忘れる → 生地のまま届き、あとから外注に出すことになる
・内側の角にRを描いていない → 工具は丸いのでピン角は出せない。放電加工が要る
・3Dと2Dで寸法が違う → どちらが正か明記する(通常は2D図面が優先)
よくある質問
図面を送るだけでは足りないのですか?
足りません。図面には形状と寸法しか書かれていないため、数量・納期・検査条件が分からないと、各社が別々の前提で計算します。ある会社は 10個前提、別の会社は 1,000個前提で出してくれば、見積もりを比べても意味がありません。
3Dデータと2D図面のどちらを送るべきですか?
両方あるのが理想です。3Dデータ(STEP形式)は形状の解釈違いが起きず、加工プログラムも作りやすくなります。2D図面は公差・表面処理・材質といった<strong>3Dデータに入らない情報</strong>を伝えるために必要です。
予算を伝えると足元を見られませんか?
製造の場合はむしろ伝えたほうが得です。予算が分かれば「この公差を緩めれば入ります」「材料を変えれば収まります」といった提案が返ってきます。黙っていると、各社が別々の前提で作った見積もりが並ぶだけになります。
図面がまだ完成していない段階で相談してもよいですか?
構いません。むしろ早い段階で相談したほうが、加工しやすい形状に直せるので安く仕上がります。「この形は削れますか」「この公差は現実的ですか」という相談に応じてくれる会社を選んでください。
まとめ
- 図面だけでは足りない。数量・納期・材質・公差・表面処理・検査の6つを添える。
- 3Dデータ(STEP)と2D図面(PDF)はセットで渡す。
- 用途を書くと、加工しやすい形への提案が返ってくる。
- 公差は機能に効く箇所だけ。全体を厳しくすると数割高くなる。
会社の選び方は 協力工場・外注先の選び方、 発注後の進め方は 製造委託の流れ を参照してください。
掲載している金額は、一般的な発注で見かける水準をもとにした目安です。 実際の費用は要件・地域・体制によって変わります。必ず複数社から見積もりを取り、 「何が含まれていて、何が含まれていないか」を比べたうえでご判断ください。