樹脂成形の費用相場|射出成形・真空成形の使い分け
1,000個を境に、金型を作ったほうが安くなることが多くあります。
樹脂部品を作るときの分かれ道は「金型を作るかどうか」です。 金型が要る工法は初期費用が高いかわりに単価が安く、 要らない工法はすぐ作れるかわりに単価が高くなります。 必要な数量から逆算すれば、どちらが安いかははっきり決まります。
工法別の比較
| 工法 | 型・初期費用 | 1個あたり | 向いている数量 | 納期 |
|---|---|---|---|---|
| 3Dプリンタ | なし | 3千〜10万円 | 1〜20個 | 2〜5日 |
| 切削(樹脂ブロックから) | なし | 5千〜5万円 | 1〜100個 | 1〜2週間 |
| 真空成形 | 5万〜50万円 | 300〜3,000円 | 50〜1,000個 | 3〜5週間 |
| 注型(シリコン型) | 10万〜40万円 | 2千〜1万円 | 10〜100個 | 2〜3週間 |
| 射出成形 | 50万〜500万円 | 10〜300円 | 1,000個〜 | 6〜10週間 |
| 押出成形 | 20万〜100万円 | m単価 | 連続もの(パイプ・シート) | 4〜8週間 |
切削(1個 3,000円)と射出成形(金型 100万円・単価 50円)を比べます。
100個:切削 30万円 / 成形 100万5千円 → 切削が安い
1,000個:切削 300万円 / 成形 105万円 → 成形が安い
5,000個:切削 1,500万円 / 成形 125万円 → 成形が圧倒的
数量が読めない段階なら、まず切削か注型で数十個作り、
売れ行きを見てから金型を起こすという進め方もあります。
よく使う樹脂材料
| 材料 | 特徴 | 使いどころ |
|---|---|---|
| ABS | 成形しやすく塗装も乗る。安い | 筐体、カバー、日用品 |
| PP(ポリプロピレン) | 安く軽い。ヒンジ形状に強い | 容器、蓋、収納品 |
| PC(ポリカーボネート) | 透明で丈夫。やや高い | カバー、レンズ、保護部品 |
| POM(ジュラコン) | 滑りがよく摩耗に強い | 歯車、軸受、摺動部品 |
| PA(ナイロン) | 強靭。吸水で寸法が変わる | 機構部品、結束バンド |
| PPS・PEEK | 耐熱・耐薬品に優れる。高価 | 自動車、半導体、医療 |
設計段階で決めておくこと
- 肉厚を均一にする:厚みが違うとヒケと反りが出る。1.5〜3mm で揃えるのが基本
- 抜き勾配を付ける:型から抜くために 0.5〜2度の傾斜が要る。垂直な壁は作れない
- アンダーカットを避ける:横方向の穴や突起はスライド機構が必要になり、型代が上がる
- ゲート位置を相談する:樹脂を流し込む位置。跡が残るので、見えない面に置く
- 材料を先に決める:材料が変わると収縮率が変わり、型を作り直すことになる
よくある質問
射出成形と真空成形はどう使い分けますか?
射出成形は金型が 50万〜500万円かかりますが、成形単価は 10〜300円と安く、1,000個以上作るなら有利です。真空成形は型が 5万〜50万円と安く、単価は 300〜3,000円。50〜1,000個くらいの中量生産や、大きくて薄いカバー類に向きます。
何個から金型を作るべきですか?
目安は 1,000個です。金型 100万円・成形単価 50円なら、1,000個で 1個あたり 1,050円。切削で 1個 3,000円なら、1,000個では金型のほうが 200万円近く安くなります。数百個までなら切削や 3Dプリンタ、数千個以上なら射出成形が基本です。
材料は何を選べばよいですか?
用途で決まります。安く一般的な用途なら ABS か PP、透明が要るなら PC か アクリル、摺動部品なら POM、耐熱が要るなら PPS や PEEK です。材料が変わると成形条件も変わるため、<strong>試作の段階で本番と同じ材料を使う</strong>ことが重要です。
成形品にヒケや反りが出ると言われました。
肉厚が不均一だと起きやすい現象です。厚い部分が冷えるときに縮んで表面がへこみます。肉厚を均一にする、リブを立てて厚みを逃がす、ゲート位置を変えるといった対策があります。設計段階で成形会社に相談すると、型を作る前に直せます。
まとめ
- 分かれ目は 1,000個。それ以下なら切削・注型、以上なら射出成形。
- 数量が読めないなら、切削や注型で数十個作ってから金型を起こす。
- 肉厚の不均一が、ヒケ・反りの最大の原因。設計段階で成形会社に相談する。
- 材料は最初に確定させる。後から変えると型ごと作り直しになる。
金型そのものの費用は 金型製作の費用相場 に、 加工方法全体の比較は 製造委託・外注加工の費用相場 にまとめています。
掲載している金額は、一般的な発注で見かける水準をもとにした目安です。 実際の費用は要件・地域・体制によって変わります。必ず複数社から見積もりを取り、 「何が含まれていて、何が含まれていないか」を比べたうえでご判断ください。