製造委託・外注加工の費用相場|加工方法別の目安
同じ図面でも見積もりは数倍変わります。差が出るのは設備と段取りです。
製造を外注するときの見積もりは、同じ図面を出しても会社によって数倍の開きが出ます。 差を生むのは会社の良し悪しではなく、持っている設備と段取りの手間です。 ここでは加工方法ごとの費用の目安と、金額が決まる仕組みを整理します。
加工方法別の費用の目安
| 加工方法 | 初期費用 | 1個あたり | 向いている数量 |
|---|---|---|---|
| 切削加工(マシニング・旋盤) | なし | 3千〜5万円 | 1〜500個 |
| 板金加工(レーザー・曲げ・溶接) | なし〜5万円 | 2千〜3万円 | 1〜1,000個 |
| プレス加工 | 30万〜300万円(型) | 10〜500円 | 1万個〜 |
| 射出成形(樹脂) | 50万〜500万円(型) | 10〜300円 | 1,000個〜 |
| 真空成形(樹脂) | 5万〜50万円(型) | 300〜3千円 | 50〜1,000個 |
| 3Dプリンタ | なし | 3千〜10万円 | 1〜20個 |
| 鋳造 | 20万〜200万円(型) | 500〜1万円 | 100個〜 |
※ 部品の大きさ・材質・形状で大きく動きます。手のひらに載る鋼材の部品を想定した目安です。
金額を決めているのは「加工時間」ではありません
見積もりの内訳は、おおむね次の4つに分かれます。
| 費目 | 数量が増えたとき | 中身 |
|---|---|---|
| 段取り費 | 変わらない | プログラム作成、治具の準備、材料の手配、初品の確認 |
| 加工費 | 比例して増える | 機械が動いている時間 × 時間単価 |
| 材料費 | 比例して増える | 材料の実費。特殊材は調達に時間もかかる |
| 検査・梱包費 | 比例して増える | 寸法の測定、検査成績書の作成、梱包 |
段取り費が 4万円、加工費が 1個あたり 1千円の部品を考えます。
1個だけなら 4万+1千 = 4万1千円。
100個なら 4万+10万 = 14万円、1個あたり 1,400円。
数量をまとめると単価が急に下がるのはこのためです。
逆に、少量しか要らないのに量産向けの会社へ出すと割高になります。
コストを上げてしまう指定
| 指定 | 影響 | 代わりにできること |
|---|---|---|
| 必要以上に厳しい公差 | 工程が増え、検査も増える。数割高くなる | 本当に効く箇所だけ厳しくする |
| 指定の材質が特殊 | 調達に数週間かかることがある | 流通している材料で代替できないか相談する |
| 深い穴・薄い肉厚 | 専用の工具が要る。加工時間も伸びる | 設計段階で加工先に相談する |
| 短納期 | 割増になる。断られることもある | 2週間以上の余裕を見る |
| 全数検査 | 数量に比例して費用が増える | 抜き取り検査でよい部分を分ける |
相見積もりの取り方
3社程度が現実的です。それ以上に増やしても、各社の対応が薄くなります。
- 同じ条件で出す:数量・納期・材質・公差・表面処理・検査を全社に同じ内容で伝える
- 希望価格は伝えてよい:予算を言うと、その範囲で作れる案を出してくれることがある
- 内訳を求める:段取り費と加工費が分かれていないと、数量を増やしたときの試算ができない
- 納期も比べる:安くても3か月先なら、要件を満たさないことがある
依頼の出し方は 見積もり依頼(RFQ)の出し方、 会社の選び方は 協力工場・外注先の選び方 にまとめています。
よくある質問
同じ図面なのに、見積もりが会社によって数倍違うのはなぜですか?
持っている設備と、その図面が得意かどうかで変わるためです。手持ちの機械で一発で削れる会社と、治具を作り直して段取りし直す会社では、かかる時間が数倍違います。「高い会社が不当」なのではなく、<strong>その形状が不得意</strong>なだけのことが多くあります。
1個だけ作ってもらえますか?
切削加工や板金加工なら1個から受けてくれる会社があります。ただし単価の大半は段取り費なので、1個でも10個でも金額があまり変わりません。成形品(樹脂・プレス)は金型が要るため、1個だけなら切削で作るほうが安くなります。
見積もりを取るとき、図面のほかに何を伝えればよいですか?
数量・納期・材質・公差・表面処理・検査条件の6つです。これらを書かずに図面だけ送ると、各社が別々の前提で計算するため見積もりを比べられなくなります。
安い会社に頼んで失敗することはありますか?
あります。よくあるのは、納期が守られない、公差の解釈が違って使えない、量産に入ってから品質が安定しない、の3つです。初回は試作か小ロットで発注し、納期と品質を確かめてから量産を任せるのが安全です。
まとめ
- 見積もりの差は会社の良し悪しではなく、設備と段取りの相性から生まれる。
- 単価の大半は段取り費。数量をまとめるほど1個あたりは下がる。
- 金型が要る工法は初期費用が高いが、数が出るなら1個あたりは圧倒的に安い。
- 公差・材質・納期の指定が、そのままコストに跳ね返る。
掲載している金額は、一般的な発注で見かける水準をもとにした目安です。 実際の費用は要件・地域・体制によって変わります。必ず複数社から見積もりを取り、 「何が含まれていて、何が含まれていないか」を比べたうえでご判断ください。