製造委託の流れ|見積もりから量産までの進め方
量産に入る前の「初品検査」で決まります。ここを飛ばすと後が苦しくなります。
製造の外注は、見積もり → 試作 → 初品検査 → 量産 の4段階で進みます。 失敗のほとんどは 初品検査を省いたことから起きます。
全体の流れ
| 段階 | 期間の目安 | やること | 決めること |
|---|---|---|---|
| 1. 見積もり | 3〜7日 | 図面と条件を渡し、3社程度から取る | 依頼先、単価、納期 |
| 2. 発注 | 1〜3日 | 発注書を交付する | 数量、単価、納期、支払条件 |
| 3. 試作 | 2〜4週間 | 1個〜数個を作る | 形状・寸法・使い勝手の確認 |
| 4. 初品検査 | 3〜7日 | 寸法を測り、図面と照合する | 合否の基準、検査項目 |
| 5. 量産 | 2〜6週間 | まとまった数を作る | 納入回数、検査の頻度 |
| 6. 受入検査 | 1〜3日 | 届いた品を自社で確認する | 不良時の返品・作り直しの扱い |
量産の前に1個だけ作って測る工程を挟むと、
加工条件のずれ、公差の解釈違い、材料の取り違えをここで止められます。
この工程を省いて 1,000個作ってから寸法違いが分かると、
材料費と加工費の全額に加え、納期も振り出しに戻ります。
初品検査は数日と数千円で、数十万円の損失を防ぐ工程です。
試作でしか分からないこと
- 組み付けられるか:単体では図面どおりでも、他の部品と干渉することがある
- 強度が足りるか:肉厚やリブの位置は、実物を触ってはじめて判断できる
- 見た目:表面処理の色味、ヒケ、バリの残り方は現物確認が要る
- 組み立てやすさ:ねじが締めにくい、手が入らないといった問題は図面では見えない
発注書に書くこと
| 項目 | 書き方 |
|---|---|
| 品名・図番 | 図面の版数(Rev)まで書く。改訂前の図面で作られる事故を防ぐ |
| 数量 | 個数。分納する場合は回数と各回の数量 |
| 単価・合計 | 税抜・税込を明記 |
| 納期 | 具体的な日付。分納なら各回の日付 |
| 納入場所 | 住所と担当者 |
| 検査条件 | 検査成績書の要否、測定する寸法 |
| 支払条件 | 締め日と支払日(月末締め翌月末払いなど) |
量産に入ってからの管理
- ロットごとの記録を残す:いつ作った分か分かると、不具合が出たときに範囲を絞れる
- 定期的に寸法を確認する:工具の摩耗で少しずつ寸法が動くことがある
- 設計変更は書面で:口頭で伝えると、次のロットから戻ってしまう
- 在庫と納期の見通しを共有する:急な増産に応じてもらいやすくなる
設計変更のたびに図番と版数(Rev.A → Rev.B)を更新し、 発注書にも版数を書いてください。 「メールに添付した最新版」で進めると、 加工側が古いデータを使ってしまったときに、どちらの責任か決められなくなります。
よくある質問
見積もりから納品までどれくらいかかりますか?
試作なら 2〜4週間、量産の立ち上げまで含めると 2〜4か月が目安です。内訳は 見積もり 3〜7日、材料手配 3〜10日、加工 1〜3週間、表面処理 3〜7日、検査・輸送 2〜5日。金型が要る場合は、そこに型の製作 4〜8週間が加わります。
初品検査(初物検査)とは何ですか?
量産に入る前に、最初の1個を測って図面どおりかを確認する工程です。ここで寸法を確認し、問題があれば加工条件を直します。これを省いて量産すると、不良品を大量に作ってから気づくことになります。
発注書は必要ですか?
必要です。口頭やメール本文だけで進めると、数量・単価・納期・支払条件の認識がずれます。継続的な取引で下請法の対象になる場合は、発注時に書面(または電子データ)を交付することが法律で定められています。
量産に入ってから設計変更したくなったら?
切削や板金なら比較的すぐ対応できますが、金型を使う工法では型の修正費(数万〜数十万円)と数週間の停止が発生します。変更の可能性がある箇所は、型を起こす前に洗い出してください。
まとめ
- 見積もり → 試作 → 初品検査 → 量産 の順で進める。
- 初品検査は数日と数千円で、数十万円の作り直しを防ぐ工程。
- 発注書には図面の版数まで書く。
- 金型を使う工法は、量産後の設計変更に型の修正費と数週間がかかる。
品質の取り決めは 品質の取り決め、 契約面は 製造委託契約の注意点 にまとめています。
掲載している金額は、一般的な発注で見かける水準をもとにした目安です。 実際の費用は要件・地域・体制によって変わります。必ず複数社から見積もりを取り、 「何が含まれていて、何が含まれていないか」を比べたうえでご判断ください。