切削加工の費用相場|材料・公差・数量で決まる単価
単価の大半は段取り費です。数量が増えるほど1個あたりは急に下がります。
切削加工の見積もりを見て「1個 3万円は高い」と感じることがありますが、 同じ部品が 100個だと 1個 3,000円になることも珍しくありません。 単価の大半を占めているのは加工時間ではなく段取り費だからです。
単価の内訳
| 費目 | 目安 | 数量が増えたとき |
|---|---|---|
| 段取り費 | 1万〜5万円 | 変わらない(総額に1回だけ) |
| 加工費 | 4,000〜8,000円/時 | 比例して増える |
| 材料費 | 実費 | 比例して増える |
| 検査・後処理 | 数百〜数千円/個 | 比例して増える |
1個:32,000円 / 10個:5,000円 / 50個:2,600円 / 100個:2,300円
10個までは劇的に下がり、その先はゆるやかになります。
「あと少し多めに作ると安くなりますか」と聞く価値があるのは、10〜30個あたりまでです。
材質による違い
| 材質 | 加工のしやすさ | 単価の傾向 |
|---|---|---|
| アルミ(A5052・A2017) | 削りやすい。加工が速い | 基準 |
| 鉄(SS400・S45C) | アルミより時間がかかる | 1.2〜1.5倍 |
| ステンレス(SUS304) | 粘りがあり工具が傷む | 1.5〜2倍 |
| 樹脂(POM・MC ナイロン) | 速いが、たわみへの配慮が要る | 0.8〜1.2倍 |
| チタン・インコネル | 非常に削りにくい。専用の条件が要る | 3〜5倍 |
コストを下げる設計の工夫
| やめたほうがよい指定 | 理由 | 代案 |
|---|---|---|
| 深い穴(径の5倍以上) | 切りくずが詰まり、加工が遅くなる | 貫通させる、または両側から加工できる形にする |
| 内側の角を「ピン角」に | 工具は丸いので角は出せない。放電加工が要る | R(丸み)を許容する |
| 薄い肉厚(1mm以下) | 加工中にたわむ。歩留まりが落ちる | 2mm 以上を確保する |
| 全面の面粗さ指定 | 仕上げ工程が全面に必要になる | 合わせ面だけ指定する |
| すべての寸法に公差 | 測定の手間が増え、検査費が上がる | 機能に効く寸法だけ指定する |
マシニングと旋盤の使い分け
- マシニング加工:四角い形、複雑な形状、多面加工。ブロックから削り出す
- 旋盤加工:円筒形、軸物、ネジ。材料を回して削る。丸物は圧倒的に速い
- 複合機:丸物に穴あけや溝加工がある場合。段取り替えが不要で、数が出るほど有利
丸い部品をマシニングで作ると割高になります。図面を渡すときに 「丸物」「角物」のどちらかを伝えると、適した設備を持つ会社が判断しやすくなります。
よくある質問
切削加工の単価はどう決まりますか?
「段取り費 ÷ 数量 + 加工時間 × 時間単価 + 材料費」で決まります。時間単価はマシニングで 4,000〜8,000円/時、旋盤で 3,500〜7,000円/時が目安です。単価の大半は<strong>段取り費</strong>なので、数量が増えると1個あたりは急に下がります。
1個だけ試作したいのですが、いくらぐらいですか?
手のひらサイズのアルミ部品で 8,000〜30,000円、鋼材や複雑な形状なら 3万〜10万円が目安です。1個でも段取りは同じだけかかるため、10個作っても総額はあまり変わりません。将来使う可能性があるなら、まとめて作ると割安です。
公差を厳しくすると、どれくらい高くなりますか?
一般公差なら加算はありませんが、±0.01mm を求めると仕上げ工程と測定が増え、2〜3割上がります。±0.005mm 以下だと研削や温度管理が必要になり、倍近くになることもあります。効く箇所だけ厳しくしてください。
材料は支給したほうが安いですか?
必ずしも安くなりません。加工会社は材料を安く仕入れられることが多く、支給材だと不良が出たときの責任の切り分けも面倒になります。特殊材や在庫がある場合を除き、材料込みで見積もるほうが手間もリスクも減ります。
まとめ
- 単価の大半は段取り費。1個と10個で総額はあまり変わらない。
- 材質で 1.2〜5倍変わる。ステンレスとチタンは特に時間がかかる。
- 内側のピン角・深穴・薄肉は、指定するだけで数割上がる。
- 公差は機能に効く箇所だけ。全面指定は検査費まで押し上げる。
加工方法全体の比較は 製造委託・外注加工の費用相場、 依頼の出し方は 見積もり依頼(RFQ)の出し方 を参照してください。
掲載している金額は、一般的な発注で見かける水準をもとにした目安です。 実際の費用は要件・地域・体制によって変わります。必ず複数社から見積もりを取り、 「何が含まれていて、何が含まれていないか」を比べたうえでご判断ください。