システムの保守・運用費用の相場
保守費は開発費の 10〜20%/年 が目安。何が含まれるかで倍近く変わります。
システムは作って終わりではありません。 むしろ費用の総額で見れば、運用期間のほうが大きくなることも珍しくありません。
ここでは保守・運用費の内訳と、契約範囲の決め方を整理します。
相場の考え方
実務では 開発費の 10〜20% を年額とするのが一般的です。
| 開発費 | 年間保守費の目安 | 月額換算 |
|---|---|---|
| 500万円 | 50万〜100万円 | 4万〜8万円 |
| 1,000万円 | 100万〜200万円 | 8万〜17万円 |
| 3,000万円 | 300万〜600万円 | 25万〜50万円 |
| 1億円 | 1,000万〜2,000万円 | 83万〜167万円 |
※ 税別。サーバー・クラウド費は別途。
保守に含まれる作業
| 項目 | 内容 | 含まれないことがある例 |
|---|---|---|
| 稼働監視 | 死活監視、エラー通知 | 24時間対応は別料金のことが多い |
| 障害対応 | 止まったときの復旧 | 営業時間外、原因が他社システムの場合 |
| 不具合修正 | 仕様どおり動かない箇所の修正 | 「仕様変更」と判断されると別料金 |
| 脆弱性対応 | OS・ライブラリの更新 | 大きなバージョン移行は別見積もり |
| バックアップ | 取得と保管 | 復旧訓練(実際に戻せるかの確認) |
| 問い合わせ対応 | 操作方法の質問 | 回数・時間の上限があることが多い |
① 対応時間:平日9〜18時か、24時間365日か(後者は2〜3倍になります)
② 復旧目標:何時間以内に復旧を目指すか。目標を書けない相手は要注意
③ 不具合と仕様変更の境目:「設計書に書かれた挙動と違うもの」を不具合とするなど、判断基準を文章に
対応レベルで金額はこう変わる
| レベル | 月額の目安 | 内容 |
|---|---|---|
| 最小 | 3万〜8万円 | 監視と障害の一次受け。修正は都度見積もり |
| 標準 | 8万〜25万円 | 上記+不具合修正、脆弱性対応、月数時間の作業枠 |
| 手厚い | 25万〜80万円 | 上記+24時間対応、定例報告、改善提案、専任担当 |
インフラ費用は別で考える
保守費とサーバー費は別物です。混同すると比較を誤ります。
- クラウド利用料:月 1万〜数十万円。構成と利用量で決まります( AWS のサーバー構築の費用を参照)
- ライセンス費:商用ミドルウェアや監視ツールを使っている場合
- SSL 証明書・ドメイン:年 数千円〜数万円
・監視はしているが、復旧作業は別料金
・バックアップは取っているが、戻せるか試したことがない
・脆弱性対応が「重大なもののみ」で、判断基準が示されていない
・担当者が1人しかおらず、退職・繁忙で連絡がつかない
金額の安さは、たいてい対応範囲の狭さと引き換えです。
自社でできることを増やして下げる
- 一次切り分けを自社で行う:「全社で使えない」のか「特定の人だけ」なのかを整理して連絡するだけで、対応時間が短くなります。
- 操作マニュアルを自社で持つ:問い合わせ対応の回数が減ります。
- アカウント管理を自社で行う:管理画面から自分たちでできるようにしておくと、月次の作業依頼が不要になります。
委託先を変えたい場合の進め方は システム保守を移管する流れ にまとめています。
よくある質問
システムの保守費用はどれくらいが相場ですか?
一般に <strong>開発費の 10〜20% を年額</strong>とするのが目安です。1,000万円で作ったシステムなら年 100万〜200万円、月 8万〜17万円ほど。ただし何が含まれるかで倍近く変わるため、金額より契約範囲を先に確認してください。
保守契約は必要ですか?
外部と通信するシステムなら必要です。OS・ミドルウェア・ライブラリの脆弱性は継続的に公表されるため、更新しないシステムは時間とともに危険になります。社内限定で外部から到達できない場合は、最小限の契約でも成立します。
「保守」と「運用」はどう違いますか?
保守はシステムを正常な状態に保つ作業(更新・障害対応・不具合修正)、運用は業務としてシステムを回す作業(監視、バッチの実行確認、アカウント管理、データ登録)です。見積もりでは混ざっていることが多いので、どちらの話をしているか確認してください。
機能追加は保守費に含まれますか?
通常は含まれません。含まれるのは「壊れたものを直す」までです。月あたり一定の作業時間を含む契約(月 5時間まで等)もあります。契約時に「不具合修正」と「仕様変更」の線引きを文章にしておくと揉めません。
まとめ
- 相場は 開発費の 10〜20%/年。金額より契約範囲で比べる。
- 対応時間・復旧目標・「不具合と仕様変更の境目」を契約前に文章にする。
- 保守費とサーバー費は別。合算して比較しない。
- バックアップは「取っているか」ではなく「戻せるか」を確認する。
掲載している金額は、一般的な発注で見かける水準をもとにした目安です。 実際の費用は要件・地域・体制によって変わります。必ず複数社から見積もりを取り、 「何が含まれていて、何が含まれていないか」を比べたうえでご判断ください。