システム開発の費用相場|人月単価と工程別の内訳
見積もりは「人月単価 × 工数」で決まります。まずこの2つの読み方から。
システム開発の見積書は、ホームページ制作と違って 「トップページ 20万円」のような分かりやすい形では出てきません。 ほとんどは 人月単価 × 工数 という掛け算です。
この2つの読み方が分かれば、金額の妥当性はかなり判断できるようになります。
人月単価の相場
1人のエンジニアが1か月働く分の金額です。役割と会社の規模で変わります。
| 役割 | 人月単価の目安 | 担当する仕事 |
|---|---|---|
| プロジェクトマネージャー | 100万〜200万円 | 全体の計画・進捗・課題の管理 |
| 上級エンジニア / アーキテクト | 100万〜160万円 | 設計方針、技術選定、難所の実装 |
| 中堅エンジニア | 70万〜110万円 | 設計と実装の中心 |
| 初級エンジニア | 50万〜80万円 | 指示のある実装、テスト |
| オフショア(ベトナム等) | 30万〜60万円 | 仕様が固まった部分の実装 |
※ 税別。大手SIerでは 150万円を超えることもあります。
工程ごとの内訳
総工数は各工程に配分されます。比率が大きく崩れている見積もりは注意が必要です。
| 工程 | 比率の目安 | やること |
|---|---|---|
| 要件定義 | 10〜20% | 業務を整理し、作るものを決める |
| 基本設計 | 10〜15% | 画面・帳票・データ構造を決める |
| 詳細設計 | 5〜10% | 実装できる粒度まで落とす |
| 実装 | 30〜40% | プログラムを書く |
| テスト | 20〜30% | 単体・結合・総合・受入 |
| プロジェクト管理 | 10%前後 | 進捗管理、課題管理、報告 |
「実装が安い」会社でも、要件定義とテストが薄ければ総額は変わらないか、むしろ高くつきます。 プログラムを書く時間は全体の 3〜4割にすぎません。 残りの 6〜7割は決めることと確かめることに使われます。
規模別の総額の目安
| 規模 | 総額の目安 | 内容の例 |
|---|---|---|
| 小規模 | 100万〜500万円 | 画面 10〜20枚。既存業務の一部をシステム化。外部連携なし |
| 中規模 | 500万〜2,000万円 | 画面 30〜80枚。複数部署が使う。権限管理や帳票あり |
| 大規模 | 2,000万〜1億円 | 基幹システム。既存システムとの連携、データ移行あり |
| 超大規模 | 1億円〜 | 全社基幹の刷新。複数年にわたる |
金額を押し上げる要因
| 要因 | 効き方 |
|---|---|
| 既存システムとの連携 | 相手側の仕様調査に時間がかかる。API が無いと大幅増 |
| データ移行 | 元データが汚いほど工数が増える。移行だけで数百万円のことも |
| 権限管理の細かさ | 「部署ごと・役職ごと・項目ごと」と細かくなるほど設計もテストも増える |
| 帳票(印刷物) | レイアウトの微調整が積み重なる。1帳票あたり数万〜数十万円 |
| 止められない要件 | 可用性を上げる構成が必要になり、インフラ費も上がる |
| 個人情報・決済 | セキュリティ要件と監査対応の工数が乗る |
工程別・機能別の内訳が無い見積もりは、比較も検証もできません。 さらに、後から「その作業は含まれていません」となったときに反論する材料もありません。 工数(人日または人月)と単価が分かれて書かれているかを必ず確認してください。
安くするために発注側ができること
- 現行の業務フローを書き出しておく:ヒアリングの回数が減り、要件定義の工数が下がります。
- 「今すぐ要る機能」と「あとでよい機能」を分ける:段階的に作れば初期費用は下げられます。
- 帳票と権限を減らす:この2つは工数に効きます。本当に必要な数まで絞ってください。
- 既存データを整理する:移行費用が下がります。
- 意思決定者を決めておく:仕様の確定が遅れると、待ち時間もコストになります。
予算の組み方は システム開発の予算取りの方法 に、 依頼先の選び方は システム開発会社の選び方 にまとめています。
よくある質問
システム開発の費用はどうやって決まりますか?
ほとんどの見積もりは「人月単価 × 工数(人月)」で計算されます。人月単価は 60万〜160万円が中心帯で、担当する技術者の役割と会社の規模で変わります。工数は機能の数ではなく、<strong>考えることの多さ</strong>で決まります。
同じ要件なのに、会社によって見積もりが2倍違うのはなぜですか?
主な理由は3つです。①人月単価が違う(大手ほど高い)②要件の解釈が違う(テストや移行を含むかどうか)③リスクの見込み方が違う(不確実な部分を多めに積むか、後で精算するか)。金額だけを比べても意味がないので、前提条件を揃えて比較してください。
小さなシステムなら 100万円以下でできますか?
要件が明確で、画面が10枚程度、外部連携が無ければ可能です。ただし要件定義から任せる場合は、その工程だけで数十万円かかります。「何を作るか」が自社で言語化できているほど安くなります。
追加費用が出ないようにするにはどうすればよいですか?
完全に防ぐことはできません。現実的なのは「変更が起きる前提で、追加が発生する条件と単価を先に決めておく」ことです。契約形態によっても扱いが変わるため、<a href="/websys-db/column/system-contract">請負と準委任の違い</a>も確認してください。
まとめ
- 見積もりは 人月単価 × 工数。単価は 60万〜160万円が中心帯。
- 実装は全体の 3〜4割。要件定義とテストが薄い見積もりは後で高くつく。
- 連携・移行・権限・帳票が、金額を押し上げる4大要因。
- 「一式」ではなく、工数と単価が分かれた見積もりをもらう。
掲載している金額は、一般的な発注で見かける水準をもとにした目安です。 実際の費用は要件・地域・体制によって変わります。必ず複数社から見積もりを取り、 「何が含まれていて、何が含まれていないか」を比べたうえでご判断ください。