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発注の進め方 / 更新:2026年8月12日

システム開発の予算取りの方法

見積もりを取る前に予算を決める必要がある、という順番の矛盾をどう解くか。

システム開発の予算取りの方法

システム開発では「予算を決めるには見積もりが要る、見積もりを取るには要件が要る、 要件を決めるには予算が要る」という循環に陥りがちです。

実務ではこの循環を、粗い概算から始めて段階的に精度を上げることで解きます。 その手順を整理します。

予算取りの流れ

  1. 目的と効果を言葉にする:「何時間の作業が減るか」「何件の機会損失が防げるか」
  2. 概算を出す:事例からの類推、または複数社への概算依頼
  3. 初期費用と運用費に分ける:会計の扱いが違うため最初から分ける
  4. 予備費を積む:10〜30%
  5. 稟議資料にまとめる:投資対効果と、やらない場合のリスク
  6. 正式見積もりで確定する:要件定義後に精度を上げる

概算の出し方

方法精度かかるもの
類似事例からの類推±50% 無料。規模の近い事例を探す
複数社への概算依頼(RFI)±30〜40% 無料だが、資料作成に社内工数がかかる
要件定義の先行発注±10〜20% 50万〜200万円。成果物は他社への見積もり依頼にも使える

1,000万円を超える案件では、要件定義を先に発注するほうが結果的に安全です。 精度の低い予算で走り出すと、途中で追加申請することになり、社内調整のコストが大きくなります。

概算依頼のときに伝えること

① 解決したい業務課題(機能ではなく困りごと)
② 使う人数と部署
③ 既存システムとの連携の有無(システム名まで)
④ 希望する稼働時期
⑤ 想定している予算帯(幅で伝えてよい)
⑤を伏せると、各社が違う前提で見積もるため比較できなくなります。

初期費用と運用費の内訳

区分項目目安
初期費用要件定義全体の 10〜20%
設計・実装・テスト全体の 60〜70%
データ移行30万〜数百万円
導入研修・マニュアル20万〜100万円
運用費(年)保守開発費の 10〜20%
サーバー・クラウド月 1万〜50万円
改善・追加開発開発費の 10〜15%

忘れられがちなのが 導入研修とマニュアル、そして 改善のための予算です。使ってみて分かることは必ずあります。 ここに予算が無いと、せっかく作ったシステムが使われないまま終わります。

稟議を通すための資料

項目書き方
現状の課題作業時間・ミスの件数・機会損失を数字で。「非効率」だけでは通らない
投資額初期費用と運用費(3年分)を分けて記載
効果削減時間 × 人件費単価、または増加見込みの売上
回収期間効果額で投資額を割る。3年以内なら通りやすい
やらない場合のリスク既存システムのサポート切れ、属人化、法改正への未対応など
代替案の比較パッケージ導入・SaaS・自社開発の3案を並べると判断しやすい
予備費を隠さない

「10%の予備費」を稟議に含めず、後から追加申請するのは最も避けたい進め方です。 システム開発で追加が発生するのは異常ではなく、むしろ普通です。 最初から予備費として計上し、使わなければ返すほうが、 社内での信頼は上がります。

予算が足りないときの考え方

  • 段階に分ける:第1段階は業務が回る最小構成に絞り、効果を見て次に進む
  • SaaS で代替できないか確認する:初期費用を抑えられるなら十分な選択肢です
  • 対象部署を絞る:全社展開より、1部署で効果を出すほうが説得力があります
  • 既存資産を活かす:使えるサーバーやライセンスがあれば初期費用を下げられます

費用の内訳の考え方は システム開発の費用相場、 依頼先の絞り方は システム開発会社の選び方 を参照してください。

よくある質問

要件が固まっていない段階で、予算はどう出せばよいですか?

3つの方法があります。①似た規模の事例から概算する ②複数社に「概算見積もり」を依頼する ③要件定義だけを先に発注し(50万〜200万円)、その成果物で本見積もりを取る。金額が大きい案件ほど③が確実です。

予備費はどれくらい見ておくべきですか?

要件が明確なら 10%、新規開発や連携が多い案件なら 20%、要件が固まっていないなら 30% を目安にしてください。予備費を稟議に含めず後から追加申請すると、社内の信用を落とします。

初期費用と運用費は分けて計上すべきですか?

分けてください。初期費用は資産計上(減価償却)の対象になることがあり、運用費は毎年の経費です。経理・会計の扱いが違うため、最初から分けて示すと稟議も通りやすくなります。

予算が足りないときはどうすればよいですか?

機能を削るのではなく、<strong>段階に分ける</strong>ほうが健全です。第1段階で業務が回る最小構成を作り、効果を確認してから追加投資する。この形なら、次年度の予算も取りやすくなります。

まとめ

  • 粗い概算から始め、要件定義を経て精度を上げる。1,000万円超なら要件定義を先行発注する。
  • 初期費用と運用費は分けて計上する(会計の扱いが違う)。
  • 予備費は 10〜30%。最初から稟議に含める。
  • 研修・マニュアルと、改善のための予算を忘れない。
この記事の金額について

掲載している金額は、一般的な発注で見かける水準をもとにした目安です。 実際の費用は要件・地域・体制によって変わります。必ず複数社から見積もりを取り、 「何が含まれていて、何が含まれていないか」を比べたうえでご判断ください。

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