M&A仲介手数料の相場|1,600社の届出から見た実額
「成功報酬5%」だけでは総額は決まりません。基準額と最低手数料で倍以上変わります。
M&A仲介の見積もりは、「料率」「報酬基準額」「最低手数料」の3つで決まります。 どれか1つだけを見て比べると、実際の請求額とかけ離れます。
ここでは、中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」に登録された支援機関のうち、 当データベースに掲載している1,627社が届け出た内容を集計して、実際の分布を示します。
成功報酬の計算:レーマン方式
| 報酬基準額 | 報酬率 |
|---|---|
| 5億円以下 | 5% |
| 5億円超〜10億円以下 | 4% |
| 10億円超〜50億円以下 | 3% |
| 50億円超〜100億円以下 | 2% |
| 100億円超 | 1% |
※ 一般的に設定されている報酬基準額・報酬率(出典:M&A支援機関登録制度HP)。 各階層に該当する部分にそれぞれ料率を掛け、合算した金額が成功報酬になります。 会社によって階層や料率は変わります。
最低手数料の実際の分布
仲介業務(譲渡側)の最低手数料を届け出た1,276社の内訳です。
| 最低手数料 | 社数 | 割合 |
|---|---|---|
| 100万円以下 | 235社 | 18.4% |
| 101〜300万円 | 440社 | 34.5% |
| 301〜500万円 | 247社 | 19.4% |
| 501〜1,000万円 | 162社 | 12.7% |
| 1,001〜2,000万円 | 144社 | 11.3% |
| 2,001万円以上 | 48社 | 3.8% |
※ 掲載1,627社のうち、仲介(譲渡側)の最低手数料を届け出た1,276社を分母にした割合です。 残る351社は届出がありません。平均は614万円、最高は4,000万円でした。
報酬基準額の置き方で総額が変わる
株式の譲渡価額 1億円、役員借入金 5,000万円、有利子負債 1億円 の会社の場合
株価レーマン(基準額 1億円)→ 成功報酬 500万円
オーナー受取額レーマン(基準額 1億5,000万円)→ 750万円
企業価値レーマン(基準額 2億円・現預金を考慮しない場合)→ 1,000万円
移動総資産レーマン(基準額 2億円+その他の負債)→ 1,000万円超
借入の多い会社ほど、株価レーマン以外では報酬が膨らみます。
どの基準額が使われているか
| 報酬基準額 | 社数 | 割合 |
|---|---|---|
| 株価レーマン(株式価額) | 636社 | 39.1% |
| オーナー受取額レーマン | 244社 | 15.0% |
| 移動総資産レーマン | 233社 | 14.3% |
| 企業価値レーマン | 161社 | 9.9% |
| その他・その他のレーマン | 185社 | 11.4% |
| 定額制 | 20社 | 1.2% |
※ 仲介業務(譲渡側)についての届出。1,627社中144社は届出がありません。 出典:M&A支援機関登録制度HP
見積もりを取るときに聞くこと
| 質問 | 何が分かるか |
|---|---|
| 報酬基準額は何ですか | 同じ料率でも総額が数倍変わる |
| 最低手数料はいくらですか | 小規模案件では実際の支払額になる |
| 着手金・中間金はありますか | 成約しなくても戻らない費用 |
| 月額報酬(リテイナー)はありますか | 長期化したときの負担 |
| 実費は誰が負担しますか | 専門家費用・登記費用などの扱い |
| 譲受側からも受け取りますか | 仲介かFAかの実質的な確認 |
| 途中で断ったときの費用は | 中断時の精算条件 |
※ 掲載している各社の届出内容(報酬基準額・最低手数料・その他手数料の有無)は、 会社詳細ページで確認できます。
よくある質問
M&A仲介の手数料はいくらかかりますか?
成功報酬はレーマン方式で計算されるのが一般的で、報酬基準額5億円以下の部分に5%、5億円超〜10億円以下の部分に4%というように、金額が大きくなるほど料率が下がります。これとは別に最低手数料が設定されており、登録支援機関1,276社の届出では101〜300万円が最も多く34.5%、301〜500万円が19.4%でした。小規模な案件では、料率ではなくこの最低手数料が実際の支払額になります。
「完全成功報酬」なら成約するまで費用はかかりませんか?
着手金が無いという意味で、費用が安いという意味ではありません。登録支援機関の届出では、仲介業務で成功報酬以外の手数料が「有」の会社が859社、「無」が624社でした。中間金や月額報酬、実費が別に発生する場合があるので、「成約しなければ本当に1円も払わないのか」を書面で確認してください。
手数料は売り手と買い手のどちらが払いますか?
仲介は双方から受け取り、FA(ファイナンシャル・アドバイザー)は依頼した側だけが払います。仲介の場合、譲渡側と譲受側それぞれに手数料が発生するため、案件全体では2社分の報酬が動きます。「譲受側だけが払う」としている会社もあるので、自分がどちら側で、いくら払うのかを最初に確認してください。
手数料が安い会社を選べばよいですか?
金額だけでは決められません。同じ「5%」でも、何に5%を掛けるかで報酬額は数倍変わります。報酬基準額を株式価額(株価レーマン)に置く会社と、移動総資産(株式価額+有利子負債+その他の負債)に置く会社では、借入のある会社ほど後者が高くなります。料率・基準額・最低手数料の3つを揃えて比べてください。
掲載している金額は、一般的な発注で見かける水準をもとにした目安です。 実際の費用は要件・地域・体制によって変わります。必ず複数社から見積もりを取り、 「何が含まれていて、何が含まれていないか」を比べたうえでご判断ください。