鋼材・金属材料の仕入れ|市況価格とひも付き取引
定価がありません。同じ材質・同じ寸法でも、買い方で単価が変わります。
鋼材・非鉄金属には定価がありません。 同じ材質・同じ寸法でも、誰から、どれだけ、いつ買うかで 単価が変わります。ここでは価格の決まり方と、問屋に頼める範囲を整理します。
流通の経路
| 経路 | 買い方 | 向いている規模 |
|---|---|---|
| ひも付き(メーカー直) | 年間数量と価格を事前に決める | 大口・継続 |
| 特約店・問屋(店売り) | その都度、市況価格で買う | 中小・スポット |
| コイルセンター・シャーリング | 切断・加工付きで買う | 板材を寸法指定で使う場合 |
| 輸入材 | まとまった数量を計画的に | 価格重視・納期に余裕あり |
価格を動かすもの
| 要因 | 影響 |
|---|---|
| 鉄スクラップ相場 | 電炉材(H形鋼・棒鋼)の原価に直結 |
| 鉄鉱石・原料炭 | 高炉材(鋼板・厚板)に効く |
| 為替 | 原料も輸入材も外貨建て |
| 電力・燃料コスト | 電炉の稼働コストに乗る |
| 建設・自動車の需要 | 需給が締まると値上がりする |
| 数量とサイズ | 定尺・定番サイズは安く、特殊寸法は割増 |
※ 見積もりを取ったら有効期限を必ず確認してください。 発注が1か月遅れると、そのまま同じ価格では買えないことがあります。
問屋・コイルセンターに頼めること
材料を買うだけでなく、次工程の手間を前に出せるのが 流通側を使う利点です。
| 加工 | 内容 |
|---|---|
| スリット・シャーリング | コイルを指定幅・指定長さに切る |
| レーザー・プラズマ切断 | 板から形状を切り出す |
| 定尺切断 | 形鋼・パイプを指定寸法に切る |
| 穴あけ・開先加工 | 組立前の一次加工 |
| 表面処理の手配 | めっき・塗装を協力先に出す |
| 在庫預かり | 必要な分だけ引き出す(預託在庫) |
定尺(例:6m、5.5m)から切ると、必ず端材が出ます。
その端材も原価に含まれるため、必要寸法を先に伝えて
「歩留まりの良い取り方」を提案してもらうと単価が下がります。
自社で切る前提なら定尺のまま、
切る手間と端材の処分費を含めて考えるなら加工込み、
という比べ方をしてください。
切断費だけを見て高いと判断すると、端材の処分費を見落とします。
見積もりで揃えること
| 項目 | 揃えないと比較にならない理由 |
|---|---|
| 材質(規格記号) | SS400とSPHCでは価格も用途も違う |
| 寸法と数量 | 1枚あたりの単価は数量で変わる |
| 単位(kg単価か本単価か) | 比重換算を間違えると比較を誤る |
| 加工の有無と内容 | 切断・穴あけが含まれるかで別物になる |
| 納入場所と荷降ろし | ユニック車が要るか、フォークがあるか |
| ミルシートの要否 | 必要なら在庫の選定から変わる |
よくある質問
「ひも付き」と「店売り」の違いは何ですか?
<strong>ひも付きは、最終需要家とメーカーのあいだで数量と価格を直接決めておく取引</strong>です。自動車メーカーや造船会社のように、年間の使用量が読める大口の需要家が使います。<strong>店売りは、問屋(特約店)が在庫を持って売る取引</strong>で、価格は市況で日々動きます。中小規模の発注はほぼ店売りになり、同じ材質・同じ寸法でも買う時期で単価が変わります。
鋼材に定価はありますか?
ありません。<strong>建値(メーカーが示す基準価格)</strong>はありますが、実際の取引価格は需給で決まります。鉄スクラップの相場、原料炭・鉄鉱石の価格、国内の設備稼働率、輸入材の流入で動きます。見積もりの有効期限が「1週間」「即日」と短いのはこのためです。
少量でも買えますか?
買えますが<strong>小口割増</strong>が乗ります。鋼材は定尺(規格の長さ)や1本単位、コイル1本単位が基本で、そこから切って売るには手間と端材が出るためです。「1枚だけ」「1メートルだけ」という買い方に対応するのが<strong>鋼材問屋やコイルセンター</strong>で、切断・穴あけ・曲げまで含めて頼めることもあります。
ミルシートとは何ですか?
鋼材の<strong>材質を証明する書類(検査証明書)</strong>です。成分と機械的性質が記載され、製鋼メーカーが発行します。建築の確認申請、官公庁の工事、圧力容器のように法令で材質の証明が要る場面では必須です。在庫材を切って売る場合、ミルシートの写しに切り出し元のロット番号を紐づけて出してもらいます。必要なら<strong>発注時に伝えてください</strong>。あとから遡るのは困難です。
掲載している金額は、一般的な発注で見かける水準をもとにした目安です。 実際の費用は要件・地域・体制によって変わります。必ず複数社から見積もりを取り、 「何が含まれていて、何が含まれていないか」を比べたうえでご判断ください。