輸入にかかる費用|商品代金以外の諸掛かりの内訳
現地価格の1.3倍が着地、という感覚は当たることも外れることもあります。
海外から仕入れるとき、商品代金だけを見て原価を判断すると必ず外します。 運賃、保険、関税、輸入消費税、通関料、国内配送が そのあとに積み上がります。ここでは、その内訳と試算の順番を整理します。
商品代金以外にかかるもの
| 費用 | 目安 | 内容 |
|---|---|---|
| 海上運賃(コンテナ) | 20万〜60万円/20ft | 航路と時期で大きく動く |
| 航空運賃 | 300〜900円/kg | 小口・急ぎのとき |
| 海上保険 | CIF価格の0.1〜0.3% | 輸送中の破損・水濡れに備える |
| 関税 | 品目により0〜20%超 | 課税価格 × 関税率 |
| 輸入消費税 | 10% | (課税価格+関税)に対して |
| 通関料 | 1万〜3万円/件 | 通関業者への手数料 |
| 取扱料・書類料(THC等) | 2万〜8万円/件 | 港でのコンテナ取扱い、書類作成 |
| 国内配送・デバンニング | 3万〜15万円 | 港から倉庫まで、荷降ろし |
※ 海上運賃は市況で数倍に動きます。長期の見積もりでは「運賃は都度見積もり」と 書かれるのが普通です。
原価の試算手順
① 商品代金(FOB) 10,000 USD × 150円 = 1,500,000円
② 海上運賃 = 250,000円
③ 保険料(CIF の0.2%) = 3,500円
④ 課税価格(CIF) = ①+②+③ = 1,753,500円
⑤ 関税 = ④ × 5% = 87,600円(100円未満切捨て)
⑥ 輸入消費税 =(④+⑤)× 10% = 184,100円
⑦ 通関料・THC・国内配送 = 150,000円
支払総額 = ①+②+③+⑤+⑥+⑦ = 2,175,200円
商品代金の 1.45倍。消費税を控除できる課税事業者なら実質1.33倍。
※ 実際の税額計算には端数処理の規定があります。上の例は概算です。
費用が膨らむ場面
| 場面 | 何が起きるか |
|---|---|
| コンテナ1本に満たない少量(LCL) | 単位あたりの運賃と取扱料が割高になる |
| 引き取りが遅れる | 保管料(デマレージ・ディテンション)が日割りで発生 |
| 書類の不備 | 通関が止まり、保管料と納期遅れが同時に発生 |
| 食品・化粧品・医療機器 | 食品衛生法・薬機法の届出が要り、検査費と日数が乗る |
| 木製パレット・木箱 | 燻蒸証明がないと荷降ろしできない |
| 円安が進む | 発注時と決済時の差が丸ごと原価に乗る |
商社に任せられること
上の手続きは自社でもできますが、 1つでも欠けると港で貨物が止まり、そのあいだ保管料が積み上がります。 慣れていないうちは、次を任せられる相手を選ぶほうが安全です。
| 任せられること | 効果 |
|---|---|
| HSコードの判定と関税率の確認 | 想定外の税率を避ける |
| EPAの原産地証明の手配 | 関税を下げられる |
| 輸入時の法令手続き(食品・薬機・電安法) | 通関で止まらない |
| 船腹の確保とスケジュール調整 | 繁忙期でも積める |
| 円建てでの契約 | 為替リスクを商社が持つ |
| 現地での検品 | 不良品を積む前に止められる |
よくある質問
関税はどうやって計算しますか?
<strong>課税価格 × 関税率</strong>です。課税価格は原則としてCIF価格、つまり<strong>商品代金+海上運賃+保険料</strong>で計算します。関税率は品目ごとに決まっており、税関の実行関税率表で調べられます。衣類や靴のように10%前後かかるものもあれば、産業用の機械のように無税のものもあります。品目分類(HSコード)が変わると税率も変わるため、判断に迷うときは税関の事前教示制度で確認できます。
輸入消費税はいくらかかりますか?
<strong>(課税価格+関税)× 10%</strong>です。関税に対しても消費税がかかる点に注意してください。課税事業者であれば仕入税額控除の対象になるため最終的な負担にはなりませんが、<strong>輸入の時点で立て替えて払う必要があります</strong>。まとまった金額の輸入では資金繰りに効いてきます。
EPA(経済連携協定)を使うと安くなりますか?
対象国から対象品目を輸入する場合、<strong>関税が下がるか無税になります</strong>。使うには輸出国で発行された原産地証明書(特定原産地証明書)か、自己申告制度による申告が必要です。書類がないと通常の税率が適用され、あとから遡って還付を受けるのは手間がかかります。発注の段階で「EPAを使いたいので原産地証明を出してほしい」と伝えておいてください。
輸入代行と商社は何が違いますか?
輸入代行は<strong>手続きの代行</strong>が中心で、手数料は商品代金の5〜10%程度が多く、契約上の売主は海外のメーカーのままです。商社は自社で買い取って売るため、<strong>不良や納期遅れの責任を商社が負います</strong>。国内の会社に対して日本の商習慣で請求できる点が大きな違いです。取引に不安がある相手や初回の取引では、商社を通すほうが安全です。
掲載している金額は、一般的な発注で見かける水準をもとにした目安です。 実際の費用は要件・地域・体制によって変わります。必ず複数社から見積もりを取り、 「何が含まれていて、何が含まれていないか」を比べたうえでご判断ください。