提案書の読み方|金額以外のどこを見るか
「すべて対応可能です」という提案は、検討していないか後で追加費用が出ます。
複数社から提案を受けたとき、 何を基準に比べればよいか分からないという状態になりがちです。
金額はすぐ比べられますが、 金額の差が何から来ているのかが分からないと判断できません。 ここでは提案書のどこを見るかを整理します。
まず条件を揃える
比較できない最大の原因は、各社に異なる前提で見積もらせていることです。 次の5つを全社に同じ内容で伝えてください。
- ページ数の目安
- 原稿は誰が書くか
- 写真は撮影するか、既存のものを使うか
- 自社で更新したい範囲
- 公開したい時期
2つめと3つめだけで、総額は数十万円変わります。 同じ「150万円」の提案でも、 一方は原稿込み、もう一方は発注者が全部書く前提、ということが実際にあります。
見積もりで確認する項目
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| ページ単価の内訳 | デザインするページと流用するページを分けているか |
| 原稿作成 | 含まれるか、何ページ分か |
| 撮影 | 含まれるか、何時間・何点か |
| CMS導入 | 更新可能な範囲がページ単位で書かれているか |
| 修正回数 | デザイン・実装それぞれ何回まで無償か |
| ディレクション費 | 総額の何%か(10〜20%が一般的) |
| 公開作業・検証 | 含まれるか |
| 保守費 | 月額と対応範囲 |
| サーバー・ドメイン | 実費請求か、保守費に含むか |
「一式」と書かれた項目は必ず内訳を聞いてください。 「デザイン・実装一式 120万円」では、何が含まれるか判断できません。 内訳を出せない会社は、社内でも積算していない可能性があります。
提案の中身を見る
金額以上に差が出るのが、提案書の前半部分です。
| 良い提案 | 弱い提案 |
|---|---|
| 自社の現状を調べたうえで課題を挙げている | 一般論のみ。どの会社にも当てはまる |
| 現行サイトの具体的な問題を指摘している | 「デザインが古い」で終わっている |
| 優先順位を付けている | すべて同じ重みで並べている |
| やらないことを明示している | すべてできると書いてある |
| 公開後の運用にも触れている | 公開までしか書かれていない |
| 実現方法が具体的 | 手法の名前だけが並んでいる |
「やらないことを明示している」提案は信用できます。 予算と期間には限りがあるため、 何かを優先すれば何かは後回しになります。 それを明示できる会社は、実際に手を動かした経験があります。
逆に「すべて対応可能です」という提案は、 検討していないか、後から追加費用が発生するかのどちらかです。
実績の見方
- 自社と同じ業種の実績があるか
- 自社と同じ規模の実績があるか(大企業ばかりだと小回りが効かないことも)
- そのサイトで、その会社は何を担当したか(デザインのみ、実装のみの場合がある)
- 公開後どれくらい経っているか(数年前の実績ばかりなら現在の体制を確認する)
- 今も稼働しているか(閉鎖されているサイトが並んでいることがある)
3つめは必ず聞いてください。 提示された実績が下請けとして関わったものだったり、 デザインだけを担当したものだったりすると、 提示された品質は再現されません。
担当者を見る
提案書の内容と同じくらい重要なのが、 実際に進行を担当する人です。
| 確認 | なぜ重要か |
|---|---|
| 提案した人が担当するか | 営業と制作が分かれている場合、認識が引き継がれないことがある |
| 技術的な質問に答えられるか | 持ち帰りが続くと進行が遅くなる |
| できないことを言えるか | 何でもできると言う担当は後で問題になる |
| 返信の速さ | 提案段階が最も速い。これ以上速くはならない |
4つめは提案段階で判断できます。 受注前の対応が最も丁寧なのが普通なので、 この時点で返信が遅い会社は、着手後さらに遅くなります。
比較表を作る
最終判断は、次の項目を並べた表を作ると付けやすくなります。
| 比較項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 総額 | 初期費用と年間費用を分けて |
| 含まれる範囲 | 原稿・写真・更新可能範囲 |
| 期間 | 公開までの月数 |
| 同業種の実績 | 件数と、担当した範囲 |
| 課題の理解度 | 提案書の前半の具体性 |
| 担当者 | 誰が担当するか、やり取りのしやすさ |
| 公開後の体制 | 保守の範囲と対応時間 |
総額だけの比較は避けてください。 条件を揃えたうえで、 「この会社と半年やり取りできるか」という観点を必ず入れてください。 制作は数か月にわたる共同作業なので、 進めやすさが結果を大きく左右します。
よくある質問
提案書が各社バラバラで比べられません。
同じ条件を伝えていない可能性があります。ページ数、原稿と写真の担当、更新可能にする範囲、公開時期を全社に同じ内容で伝えてください。既に提案が出ている場合は、「この条件で見積もりを揃えてほしい」と再依頼すれば対応してもらえます。
デザイン案を提案時に出してもらえますか?
会社によります。出す会社もありますが、受注前のデザイン制作は無償の持ち出しになるため、断る会社も多くあります。断ること自体は品質の問題ではありません。複数社に無償でデザインを求めるのは、発注側としても避けたほうがよい進め方です。
一番安い提案を選んでよいですか?
範囲が同じなら問題ありません。実際には範囲が違うことがほとんどで、安い提案は原稿・写真・更新可能範囲のどれかが削られています。<strong>総額ではなく、含まれるものを揃えてから比べてください。</strong>
提案が良かったのに担当者が不安です。
重要な観点です。提案書を作った人と、実際に担当する人が違うことがあります。「この案件を担当されるのはどなたですか」「その方に同席いただけますか」と確認してください。進行中に最も長くやり取りする相手です。
掲載している金額は、一般的な発注で見かける水準をもとにした目安です。 実際の費用は要件・地域・体制によって変わります。必ず複数社から見積もりを取り、 「何が含まれていて、何が含まれていないか」を比べたうえでご判断ください。