動画の権利|出演者・音楽・素材の許諾
社員が退職したあと、その動画を使い続けられますか。
動画は、映っている人・流れている音楽・使った素材のすべてに権利が関わります。 公開してから問題になると、 差し替えではなく公開停止になることもあります。 制作時に確認しておくべき点を整理します。
出演者の権利
| 出演者 | 必要なこと | 注意点 |
|---|---|---|
| 自社の社員 | 書面での同意 | 退職後の扱いを明記する |
| 顧客・取引先 | 書面での同意 | 相手の会社としての承認も要る |
| タレント・モデル | 契約書(期間・範囲) | 期間の延長には追加費用。二次利用も別 |
| 通行人・来場者 | 撮影の告知、または映り込みの回避 | 特定できる形で映すと問題になる |
| 子ども | 保護者の同意 | 学校や施設の許可も必要なことがある |
・使用する範囲:自社サイト、YouTube、SNS、展示会、営業資料、採用説明会など
・使用期間:「公開から3年」「退職後1年まで」など
・退職後の扱い:在職中に撮影したものを、退職後も使用できるか
退職者から公開停止を求められると、
その人が映るシーンをすべて削るか、作り直しになります。
数十万円の再編集費がかかることもあります。
音楽の権利
| 使い方 | 可否 | 費用 |
|---|---|---|
| ロイヤリティフリー音源 | ◎ 一般的 | 無料〜3万円 |
| オリジナル制作 | ◎ 権利が明確 | 10万〜50万円 |
| 市販のCD音源 | ✕ 原盤権の許諾が必要 | 個別交渉(高額) |
| カバー演奏 | △ 著作権の許諾が必要 | JASRAC等へ申請 |
| フリー素材サイトの音源 | ○ 規約次第 | 無料〜 |
※ ロイヤリティフリーでも、YouTube広告での使用や再配布が禁じられている素材があります。 規約を確認してください。
映り込みに注意するもの
- 他社のロゴ・製品:パソコンのメーカーロゴ、飲料のパッケージなど
- ポスター・書籍・絵画:オフィスに貼ってあるものが著作物のことがある
- 建築物・施設:撮影禁止の場所がある。商業施設は許可が要る
- BGMとして流れている音楽:店内やオフィスで流れている曲が入り込む
- 個人情報:モニターに映った顧客名、書類、名札
映り込みの多くは、撮影当日に机の上や壁を整理するだけで防げます。 ポスターを外す、書類を裏返す、モニターの画面を切り替える。 編集で消すと1カットあたり数万円かかるので、 現場での5分の手間が最も安く済みます。
納品物の権利
| 項目 | 取り決めがないと | 入れておくとよい条項 |
|---|---|---|
| 著作権 | 制作会社に帰属する | 譲渡を受ける、または改変を含む使用許諾 |
| 元データ(編集プロジェクト) | 渡されないのが一般的 | 納品対象に含めるか、保管期間を定める |
| 撮影素材(未使用カット) | 制作会社が保管 | 提供の可否と、保管期間 |
| 二次利用 | 都度の許諾が必要になることも | 使用範囲を広く定めておく |
| 実績としての公開 | 制作会社が事例に載せることがある | 可否を決めておく |
編集ソフトのプロジェクトファイル(元データ)は、 渡さないのが業界の一般的な扱いです。 将来ほかの会社で修正したい場合は、 納品対象に含めるよう契約時に交渉してください。 追加費用がかかることもありますが、 後から頼むより確実です。
よくある質問
出演した社員が退職したら、動画は使えなくなりますか?
同意の取り方次第です。「退職後も一定期間は使用できる」旨を<strong>書面で</strong>得ていれば、そのまま使えます。口頭の了承だけだと、退職時に公開停止を求められたときに争いになります。
市販の音楽をBGMに使えますか?
使えません。JASRAC などの管理楽曲でも、<strong>録音物(原盤)の権利</strong>は別に許諾が必要です。実務ではロイヤリティフリーの音源を使うか、オリジナルで作曲するのが一般的です。
納品された動画の著作権は誰のものですか?
契約で定めなければ<strong>制作会社に帰属します</strong>。発注側は「使用許諾を受けている」状態になります。将来ほかの会社で編集し直したい場合は、著作権の譲渡か、改変の許諾を契約に入れてください。
Web用に作った動画を展示会でも流せますか?
使用範囲によります。出演者や音楽の許諾が「Web掲載のみ」なら、展示会での上映は範囲外です。制作時に<strong>使う可能性のある場面をすべて挙げて</strong>許諾を取っておいてください。
まとめ
- 社員の同意は書面で。使用範囲・期間・退職後の扱いを明記する。
- 市販の音楽は使えない。ロイヤリティフリーかオリジナル制作にする。
- 映り込みは撮影前の片づけで防ぐ。編集で消すと1カット数万円。
- 著作権は定めなければ制作会社に帰属する。元データも通常は渡されない。
※ 権利関係の判断は個別の事情によります。重要な案件では弁護士にご確認ください。
掲載している金額は、一般的な発注で見かける水準をもとにした目安です。 実際の費用は要件・地域・体制によって変わります。必ず複数社から見積もりを取り、 「何が含まれていて、何が含まれていないか」を比べたうえでご判断ください。